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なぜ僕らは、世界を旅してセブに移住したのか|会計士、計画ゼロで始めた学校

「完璧な準備ができるってもうそんな日は来ないじゃん」——セブ島で英語スクール「クロスロード」を立ち上げた夫婦が、何度も繰り返す言葉です。安定した仕事を捨てて、資金も知識も不十分なまま、セブへ飛び立つ決断。その背景にあったのは、旅を通じて気づいた人生の本質と、計画に執着することへの違和感でした。二人の経験から見えてくるのは、迷いながらも前に進むことの大切さです。

旅で学んだこと——「人との出会いが人生を変える」

公認会計士として日本で働いていた彼は、妻と共に世界を旅しました。その過程で気づいたことがありました。旅の質は綺麗な風景ではなく、人との出会いで決まるということです。

セブ島で英語を学んだ経験が大きかった。ある程度英語ができるようになると、現地の人とのコミュニケーションが深まり、旅全体の充実度が劇的に上がったのです。英語という共通言語があれば、どこでどんな人と出会えるか、何が話せるか——その世界が広がることを体感しました。

今でも記憶に残っているのは、どの風景かではなく「どこで誰と何をしたか」「どんな会話をしたか」という人間関係の痕跡ばかり。その気づきが、彼らの人生を大きく変えることになります。

シンガポール就職か、セブ起業か——転機となった2012年秋

旅から戻った後、二人は計画を立てました。USCPA(米国公認会計士)の資格を取得し、シンガポールで仕事をしながらスクール設立の準備をしようというものです。彼は米国の大学の単位を取得し、USCPA試験の受験資格まで獲得していました。

しかし、2012年9月末、突然「やっぱりセブで学校を作ろう」と言い始めたのです。

なぜそんなことを?彼の思考はこうでした。USCPA取得に3年かかる。その間にシンガポールで就職したら、仕事を辞めるのは簡単ではない。子どもも生まれるかもしれない。そうなったら、セブでゼロから始め直すことは難しくなる。だったら、今行くしかない。その瞬間、迷いは吹き飛びました。

妻の反応は?ご想像の通り、激怒です。時間もお金もかけて準備してきたのに、何をしているのかと。しかし妻も後に気づきます。怒りの正体は不安だったのです。シンガポール就職という「安定」を手放すことへの恐れ。その不安と向き合った時、妻も思ったといいます。「別に死ぬわけじゃないし」——10月10日には、すでに二人はセブ行きの飛行機に乗っていました。

資金200万円、知識ゼロから始まった学校運営

セブに着いた時点で、手元には200万円しかありませんでした。それでも、信頼できる不動産屋さんを見つけ、その人の近くに住み、サポートを受けながら、細々とスクール運営を開始しました。

最初の形態は本当に小さかった。家1軒、先生1人、生徒さん1人。その生徒さんは友人でした。ビジネスとしての体裁は何もない。ただ、そこから始まったのです。

困難の連続でした。知識不足から移民局(ラモン)に呼び出されたこともある。資金が尽きて、親にお金を借りることもありました。コロナパンデミックが襲ってきた時には、ビジネスが一時停止に追い込まれ、生徒さんへの返金もしなければならなくなりました。返す借金だけが残りました。

しかし、一歩踏み出したことで、様々な出会いと経験が繋がっていったのです。

シンガポールにいたら、クロスロードは生まれなかった

もし、あの時シンガポール就職を選んでいたら?彼は想像します。

確かに、シンガポールでうまく仕事をしていたかもしれない。給料も安定していたはず。でも、クロスロードというスクールは生まれなかった。子どもが生まれ、生活の基盤ができた状態で、もう一度セブでゼロから始め直すことの困難さを考えると、その選択肢は消えていたでしょう。

つまり、あの時の「不安の中での決断」が、現在のクロスロードの存在を可能にした。夫婦は、それぞれのセブでの経験を通じて、親子留学というテーマで多くの生徒さんと出会い、人生を変える手助けをしてきました。

完璧な準備は来ない——進むことで見える景色

「完璧な準備をしてから動く」ことは幻想です。進む中で障害は出てくる。でも、その先を信じて一歩進むと、見える景色が変わる。出会う人も変わり、得られる情報や経験も変わる。そうするとまた次の一歩が見えてくる——それの繰り返しだと、夫婦は語ります。

これまでのクロスロードでの経験の中で、彼らが見てきたのは、多くの生徒さんが一歩を踏み出す人たちだったということです。旅人として学校に来た人たち、その後移住を選んだ人たち。一般的には「うまくいかない」ことも経験しています。でも、後悔している人は1人もいない。失敗や困難を「通過点」として捉え、どんどん次に進んでいく。そして、それぞれの道で確実に何かを得ている。

迷っているあなたへ——小さな一歩を信じる

起業の話として語られていますが、これは転職でもいいし、学び直しでも、移住や子育ての在り方の見直しでもいい。今、何かモヤモヤしていて、違う気がするけど、どうすればいいか迷っている人たちは多くいるでしょう。

彼らが経験から言えることは、シンプルです。1歩でも2歩でも進んでみる。そうすると、次の景色が見えてくる。出会いや経験によって、思いもしなかった可能性が開かれていく。その先を信じて、小さな一歩を踏み出してみませんか——それが、二人からのメッセージです。

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