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子育てに正解はない|自信ゼロだった母が”自分の軸”を見つけるまで

30歳まで、自分の人生について深く考えたことがありませんでした。女性として歩むべき「一般的な道筋」があると信じ込み、疑わず進んでいた。そんな人生に転機が訪れたのは、夫婦で世界を一周する旅でした。毎日、泊まる宿を自分たちで決める。次に向かう場所も、自分たちで選ぶ。そうした選択の連続が、私の人生を大きく変えていきました。
「一般的なレール」から降りた瞬間、人生が変わった

日本で会社員として働いていた頃、私は自分の考えというものがないと感じていました。世の中に示された「女性はこう生きるべき」という枠組みの中で、疑問を持たずに進んでいたからです。その結果、子育てをしている今も「こんな母親でいいのだろうか」という不安がずっと付きまとっていました。
しかし世界一周の旅に出た時、初めて自分の意思で決断することの楽しさを知りました。毎日、泊まる宿を決めるというシンプルなことすら、日本にいては経験できなかった。宿泊地が決まっていない外国にいるという状況の中で、自分たちで選択を続けることが、こんなに気持ちいいのかと驚きました。
大切だったのは、その選択がうまくいかないこともあるということです。失敗したことさえ「自分で決めたこと」という納得感があれば、後悔にはならない。むしろ、その経験から学ぶ次のステップが見える。この感覚が、私の人生における最初の大きな気づきでした。
3人のママから学んだ、「正解は自分の中にある」という真実

セブで2人目の娘が生まれた後、「子育ての正解とは」というイベントに参加しました。登壇した3人の素敵なママたちが、それぞれの子育てについて語ったのです。
驚いたのは、3人ともが素敵なのに、その考え方が全く異なっていたということです。親も違えば、子どもも違う。家族の背景も異なる。だからこそ、子育ての正解は、各家族の中にしか存在しないのです。
このイベントを通じて、私は気づきました。「正解は私の中にしかない」と。
世の中には、「こんな子育てがいい」「あんな教育が素晴らしい」という情報があふれています。それまでの私は、その情報に揺さぶられていました。あれがいいと聞けば試したくなり、これがいいと聞けば迷ってしまう。その結果、自分自身もぶれるし、子どもたちも混乱してしまう。
しかし自分の中にぶれない軸を持っていれば、新しい情報に出会った時に自分で判断できるのです。やるか、やらないか。それを自分で決めて、納得することができる。これは旅の中で学んだ「選択と納得」の感覚と同じでした。
子育ての軸を作るために、学びを深めた

そう気づいた後、私は本格的に学びを始めました。子育て学協会で発達心理学やアドラー心理学を学び、その後はコーチングの領域に進んで、自発的な行動を引き出すコミュニケーション方法を学びました。
しかし学びと同じくらい大切だったのが、「自分たちの家族は、どうなりたいのか」という問いを、徹底的に突き詰めることでした。
私が子どもたちに身につけさせたいのは、2つのことです。1つ目は、「自分は愛される価値のある人間だ」と信じられる心。根拠のない自信、つまり自己肯定感です。
2つ目は、「自分で夢を見つけて、それを叶えるために行動する力」。これは根拠のある自信、自己効力感から生まれるものです。成功体験を積み重ねることで、「自分はできるんだ」という感覚が芽生えます。
多くの親が同じようなことを考えているでしょう。でも、その思いを実際に行動に移し、子どもたちの環境を整えることは簡単ではありません。
自己肯定感と自己効力感を育てるために、親ができること

自己肯定感を高めるために、私たちが意識していることは3つあります。第一に、「あなたが大切です」というメッセージを、言葉と態度で伝え続けること。第二に、親だけでなく、たくさんの大人たちから「あなたはここにいるだけで素敵だね」と声をかけてもらえる環境を作ること。
私たちはフィリピンのセブで親子留学をテーマにした教育プログラムを運営しているのですが、そこでは子どもたちが家族以外の大人や、同年代の子どもたちに囲まれて生活しています。スタッフからも、他の生徒の親たちからも、自然と声をかけてもらえる環境が、自己肯定感の醸成に大きく役立っています。
自己効力感を育てるには、成功体験が欠かせません。私たちの息子・ユマは12歳で、すでに企業家志向を持っています。彼は10歳の頃から起業家教育を始め、シンガポールやマレーシアへ1人で旅をしたり、セブのNPO・NGO団体を訪問してインタビューしたりする経験をしてきました。
こうした挑戦の中で、成功することもあれば失敗することもあります。大事なのは、「挑戦したこと自体が素晴らしい」というメッセージを伝え、うまくいかなかった時には「次は何をしたらできるのか」を一緒に考えることです。
軸を持っても、迷うことはある——その時の向き合い方

ここまで話してきた私ですが、正直に言えば、今でも迷うことがあります。親としての選択に、100%の確信を持つことはできません。
例えば、娘の柚月は小学3年生ですが、日本で過ごしている同年代の子どもたちと比べると、日本語の読み書きが遅れています。英語は流暢に話せますが、勉強をしっかり自分からやるタイプではありません。そのギャップを見た時、「大丈夫かな」という不安が一瞬よぎります。
しかしその時に立ち返るのが、「この子にとって、今、本当に大事なことは何か」という問いです。私たちの家族にとっては、明るく、友達と遊ぶ時間をたっぷり持つことの方が、勉強よりも優先順位が高い。宿題は後でもいい。そう自分の軸に照らし合わせて、判断し直すことができます。
軸を持つことは、迷わなくなることではなく、迷った時に自分に帰ってこられることなのです。
同じように迷っているあなたへ——環境を変えることの力

今、子育てについてモヤモヤしている親御さんへ、伝えたいことがあります。
「正解はみんな違う。どれが正しくて、どれが間違っているということはない」ということです。
もし今、「このままでいいのかな」と感じているなら、それは素晴らしいチャンスです。ずっと過ごしている環境から一旦飛び出て、異なる考え方や文化に触れてみてください。国が違えば、常識も全く異なります。自分が当たり前だと思っていた子育ての方法が、実は一つの選択肢に過ぎないことに気づきます。
親子留学は、そうした気づきを得られる環境として機能します。安全で、多様なバックグラウンドを持った人たちに出会える。フィリピンの文化を深く知ることができる。そして、同じように自分の軸を探している日本人たちと出会い、共に学ぶことができます。
子育てに正解はありません。あるのは、「自分たちの家族にとって、今、何が大切か」という問いに、自分たちで答えることだけです。その答えを探す過程で、新しい視点や環境に触れることは、きっとあなたの人生を変えるでしょう。



