【伝説の旅日記を公開】
若かりし頃にアジア1人旅をしたダイスケは、旅の後、『そうだ、旅の経験を文章にして、たくさんの人に読んでもらおう』と思い立つ。時代を読むセンスがあればブログを書いていたと思うのだが、スーパーアナログ人間ダイスケは、『そうだ、電車の中で読んでもらおう♫』と、書いた旅日記を印刷し、駅で配るという行動に出る。『アジア1人旅、旅日記を書いています。よろしければ読んでみてください!!』と駅前で声を張り上げ、4年という期間(旅は1年ちょっとなのに)をかけ、意地で書ききった当時の自分を、僕は今、、、あまり思い出したくない(笑)
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前回までのあらすじ
タイに到着した翌日、誰が聞いても怪しげな展開に何の疑いも無く付いていってしまっただいすけ。気がついたらマフィアの首領(ドン)的な雰囲気をかもしだしたおじ様とブラックジャック(カードゲーム)をやる羽目に、、、。デイーラーと自分はグル。さてその先は、、、。
ディーラーの兄ちゃんに渡された約3万円をチップに替えられ、マフィアッチもチップを手にしてゲーム強制スタート。
1回、2回とゲームが進んでいく。
自分はディーラーの兄ちゃんとグルになっている為、負けない。
こんなけ勝ち続けたらばれるでしょ。
そしてばれたらタイ平洋に沈められちゃうでしょ。
10ゲーム位やったところで勇気を出して
だいすけ: 「お、お、お金、ま、ま、ま全くいらないから、お、お、終わりにしましょう、、、」
マフィアッチ: 「NO!!」
だいすけ: 「いや、もうホント勘弁。プリ~~~~~ズ!!!」
マフィアッチ: 「、、、。」
ディーラー: 「オ~ケ~、オ~ケ~、ラストゲーム!OK?」
マフィアッチ: 「ン~、オ~ケイBOY!!」
だいすけ: 「いや、だからもう、、、
マフィアッチ: 100点満点のガンをとばす。
だいすけ: 「あ、じゃあ最後って事で。ははは~」
カードが配られる。
自分のカードは、、、
ブラックジャック。一番強いカードが揃った。
負けは100パーセント無い、、、はずなんだけど、、、。
ここでひとつだけルールの確認をしよう。
カードで勝っていれば勝ちという結果には必ずしもならない。
例えば、相手が1万円賭けて、自分は5000円賭けるということはできない。自分は1万円以上賭けなければいけない。それが出来ない場合は、カードの強さに関らず負けとなる。
さぁラストゲーム。
マフィアッチはマフィアッチらしく全てのチップを賭けた。自分はそれと同じ金額を賭けようとすると、ディーラーに 「馬鹿!勝ってんだから全部賭けろ」 的な視線をおくられ、しょうがなく賭ける。
マフィアッチ:「強気だねBOY!」
、、、いや、過去に今ほど弱気になった記憶が無いんですけど。
マフィアッチ:「おーけー」
彼はおもむろにセカンドバッグに右手を入れると
どーーーーん!どーーーーーーん!!
あ~!?
やられた~~~~~
って展開だったら今ここには居ない訳で、、、
どーーーーん!どーーーーーーん!!
と2回に分けて10cm以上あろうかという札束を出してきた。
わぁ、お金がいっぱい❤︎
、、、ってばか~~~~~!!
正確にはわからないけど、何百万円っていう金額。
そんなのねぇ~よ。
うるるん始まったー!!!
って思ってから約2時間。何百万の借金の危機。
しかも相手が悪すぎるんじゃぁねーのかい?
ディーラー:「カード勝ってるんだから、自分の金出しとけ。あるだろ。俺も今持ってくるから」
半強制的に財布の中に入っていた約1万円位を出す。
ディーラーの兄ちゃんはどこから持ってきたのか、2cm位の札束(普通に考えりゃすんげ~大金)を出す。
まぁ~どっちにしろじぇ~んじぇん足りないけどね。
ディーラーの兄ちゃん:「まだ、あるだろ?」
いつの間にか背後には自分をここに連れてきたご夫婦。
なにかな?この羽交い絞めな感じ
こうして高校以来の荷物検査が始まった。
ちなみにこのときだいすけ君は70万円くらい持ってたみたいだよ。
俺ピンチ!!
いろいろあってやらざるをえなくなった賭けトランプ。何百万円負けの危機。カードでは勝ってるけど、グルになっているディーラーの兄ちゃんから渡されたお金と、ここまでの勝ち金では、もち金が全然足りない。
気がついたら、声をかけられて付いて来てしまった夫婦に羽交い絞め状態。
勝ってんだから有り金出しとけやって感じで、見方(って普通思わないけど、、、)の筈のディーラーの兄ちゃんは俺のボデーのあらゆる所をチェック。
その時の自分の所持金は、、、
汗水流し気味で稼いだ約70万円。
パンツの下の腹巻に35万、リュックの決して隠しではないポケットに35万。
共にトラベラーズチェック(本人しか使えなくて、失くしても再発行できる)にして持っていた。
ディーラーの兄ちゃん:「ここか?それともここか?」
だいすけ:「あ、ちょっと、あん そこは、、、 ビンゴ!!」
あっさり腹の35万円分のT/C(トラベラーズチェック)没収。
バッグの方はセーフ。 ふぅ~
だいすけ心の声:『まぁ、再発行できるし、、、あ~帰りてぇ~~~~』
ディーラーの兄ちゃん:「じゃぁ両替してきて~」
だいすけ:「そぅ、そぅ、両替してね、、、って えーっ!?」
心:『んま~、あんたは賢いNO~~~!!』
解かれる事の無い羽交い絞め状態のまま近くの銀行へ。
周りから見たら人気者の日本人だな。
銀行の窓口にて
だいすけ:「ア、アイ ウォントー マネー チェンジ? ジャパン タイ オーケー?」
綺麗な銀行員さん:「は?」
心:『そうだ、俺英語できねーから両替できねぇんじゃね?ラッキー、馬鹿って得~。』
大輔君?この先どうするつもりだったんですか?
「chfcl。mwxcj。d、sxx。d、dscvfdsx。V、kfvlば;b」
、、、ご夫婦のお言葉(両替して、みたいな感じなんだろうな)
ですよね~。
お宅らはタイ語も日本語もお上手ですもんね~。
はっはっはっは、、、ガーーーン!!
35万円分のT/Cを現金に換えて、再びマフィアッチの居るお家へバックホーム!
今、助け呼ぶチャンスいっぱいあるじゃんって思った?
それを一番感じてるのはだいすけ本人であります。
でも、当時の馬鹿で超ビビりな大輔君には無理だったみたい。
素晴らしいカモでしょ?
家に戻ってお金を出さされるも、相手が賭けてるのは何百万っていう大金。
ぜんぜん足りない。
ディーラーの兄ちゃん:
「残りのお金は明日までに俺が用意する。だからお金とカードをこのアタッシュケースに入れて、鍵はマフィアッチ、アタッシュケースはダイスケが持ってて。それで明日カードをオープンしよう。」
マフィアッチ: 「OK!」 、、、軽!?
ディーラーの兄ちゃん、小っちゃい声で:
「ダイスケ、今日中に残りのお金用意するから、その間ホテルで待ってて。俺の友達がやってるホテルだからさ。」
そうして自分は大金の入ったアタッシュケースと携帯電話を持たされ、お金の用意ができるまでと、成されるがままに、場所も何も分からないホテルで一人泊まらされる事になった。
21歳の誕生日の前日の夜、不安だらけで眠れないだいすけ。
ベッドの上、天井を見上げながら、、、
『逃げようかな、、、。でも逃げたら空港で黒服に囲まれて、コンクリートに詰められて海に捨てられて、、、百年後位に日本海のどっかに流れついて、最後はテトラポットになるんだろうな~』
早くも海水の味がするぜ。
あ、、、涙か。
前回までのあらすじ
ビビりのだいすけは、一人旅2日目にして、日本語恋しさにタイ人?夫婦に付いて行ってしまう。いつの間にか賭けトランプをやる羽目になり、その相手はマンガからそのまま出てきたような恐いおじさま。賭けの続きは後日ということになり、自分の全財産の半分である約35万円を含む、何百万円という大金が入ったアタッシュケースと携帯電話を持たされ、一人見知らぬホテルに泊まることに、、、。
大金の入ったアタッシュケースを外に持ち出すのも、部屋において外に出るのも恐い。結局その日は飯も食わず、部屋に置いてあったペットボトルの水を大事に大事に飲んで過ごした。映りの悪いテレビが更に不安を募らせ、空になったタバコの袋を握りつぶす。無理やり眠ろうとするけれど、羊の数は増える一方だ。
、、、なんてちょっと小説っぽく書いてみたけど、明かり点けたまんまサクッと寝たな、確か。
繊細じゃなくて良かった。
朝早くに目が覚め、ひたすら電話待ち。
自分の35万よりマフィアッチのお金を持っていることが恐すぎる。
あ~さっさと開放されて~
いつ電話がかかってくるか分からない自分は、あらゆる方法で時間を潰した。
筋トレをした。
仲間にもらった手紙を読んだ。
いつもより長く歯を磨いた。
妄想で楽しい事を考えた。
、、、悲しすぎる。
pi pi pi pi pi ...
電話だ、、、「はろー?」
「オハヨゴザイマス、ヨクネタネ?カバンダイジョブ?」
、、、日本語が一番うまい奥さんだ。
だいすけ:「うん、大丈夫。待ってればいい?」
奥さん:「オカネ デキナイネ マダ。モウスコシ マツネ。マタ デンワ スルネ。」
だいすけ:「え?何で?っつーかここで待つの?違う所行っていい?」
奥さん:「ン~、マァイイヨ。デンワモッテテネ。カバン ナクス キヲツケルネ。アシタ デンワスルネ。バイ」
はー?ふざけんなよ!?
いつまでこんなの持ってなきゃいけねぇーんだよ!!!
あの、、、それ本人に言えばいいのに。この典型的チキンめ。
とか自分の中の二人でしばらく会話して、とりあえずホテルをチェックアウトした。初日に泊まったカオサン通りの宿に向かうことにしたんだ。あの宿に何人か日本人が居たことを思い出したから。
リュックを背負い、アタッシュケースを胸に抱え、絶対失くさないように、盗られないように気をつけてタクシーに乗り込んだ。その姿は「わたし今大金持ってます」ってアピールしてるとしか思えないほど、、、誘拐された娘を助けるために身代金を一人で運ぶお父さんそのものだったことだろう。
無事カオサン通りに到着し、宿にチェックインすると、宿の踊り場では7~8人の日本人が楽しそうに話していた。ここはどうやら日本人が集まる宿のようだ。
ああ、相談したい、めっちゃ話したい。でも、恥ずかしいし、後ろめたいし、こんな大金持ってるの他の人に知られるの恐いし、いつ電話かかってくるかわかんねーし、、、あーもうっ!!
結局ぎこちない挨拶をするのが精一杯だった。
外に出るときは必ずアタッシュケースを胸に抱え、誰とも目が合わないように気まずい感じで出て行く。
あの日、あの時、あの場所で、あの怪しさで君に逢わなくてよかった。
その後、誰とも話さない日が続き、電話はかかってくるたびに日にちが延ばされた。3~4日するとかかってくることすら無くなり、不安はでかくなるばっかりで、ストレスでおかしくなりそうだった。
5日目になると、携帯の電池も無くなり、どうしようもなくなった。
もう、どうにでもなれ。よし、飲みにいこう!!
荷物も全部部屋に置いたまま、初めて手ぶらで外に出た。開き直って顔が上がったのか、急に周りが見えるようになった。
改めてカオサン通りを歩いていると、本当に多くのお店がある。その中で本屋が目にとまった。店頭に日本語のガイドブック、地球の歩き方が置いてあったから。
実は、着いて行ってしまった彼らにガイドブックを貸してきてしまい、持ってなかったんだ。
わらにもすがる思いでそのガイドブックを購入し、近くに腰を下ろして読み始めた。
気になるのはもちろんトラブルのページ。
そこを読んで自分は目を疑った、、、けど信じてあげた。
俺とおんなじ事がかいてあるじゃないか~!?
まだ投稿してないのに、、、
少し違ったのは、最後に大負けするってところ。
自分は負けてない。事実、お金は今自分の部屋にあるし。
ってゆーか俺の方がタチ悪くね?
どっからどう見てもマフィアのおじさまのお金を預かってしまったんですけど~(泣)
殺される~。誰か~。助けて~!!!
ガイドブック:「なにかトラブルに巻き込まれたら、現地のツーリストポリスへ」
はい、すぐにそうさせていただきま~す。
前回までのあらすじ
途方に暮れる大輔の横には1つのアタッシュケース。この中身は恐いおじ様の何百万円という大金と、身銭の35万円が入っている。預かった翌日には解決するはずだったこのトラブル、日にちが経ち、連絡手段として渡されたケータイの電池も切れ、どうしようもなくなったとき、街で手に入れたガイドブックを読んだ。そうか、困ったらツーリストポリスに行けばいいのか、、、。
「えくすきゅ~ずみ~?」
ガイドブックの地図を頼りに、なんとかツーリストポリスに辿り着き、恐る恐る入っていくと
「ジャパニーズ?どうしました?」
日本語が通じる!?
良かった~
大輔:「実は街で声をかけられて、、、付いて行っちゃったんです。それで、、、」
ポリス:「『日本に家族がいるから仲良くしてやってくれ。宿を探してるならうちに泊まればいい』みたいに言われて付いていったらギャンブルでもやらされたんでしょ?」
大輔:「正解!! ってなんで知ってんすか?」
ポリス:「よくあるパターンね。で、いくら盗られた?」
大輔:「いや、、、盗られたわけじゃないんすけど、マフィアみたいな人と賭けのトランプみたいなのをやらされて、最後お金足りないから次の日に続きをやるってことになって、、、。このアタッシュケースにその人のお金と自分のお金が入ってるんです。鍵はその恐い人が持ってるんですけど。電話も渡されたんですけど電池も切れちゃったし、どうしていいかわからなくて、、、。
Help! Help me!!」
ポリス:「ああ、そっちね。」
ポリスはペンチみたいなのを取り出すと、アタッシュケースの鍵を壊して無理やりこじ開けた。
「!? いや、だめだって!!
、、、???
なんじゃこりゃ~!?」
中から出てきたのは束になったいくつかの新聞紙だった。そう、最初からお金なんて入ってなかったみたい。ケータイもカモフラージュだったってことだね。お金を入れた直後からずっと自分で持ってたつもりだったけど、どっかでかすりかえられたってこと。
身体の力が一気に抜けた。
「そっか~、そ~だったんだ~。良かった~。」
おかしなこと言ってんなーって思うでしょ?
確かに35万盗られて、「良かった」って言う奴はあんまりいないよな~。
でも自分は自分のお金が取られたことよりも、恐いおじ様のお金を本当は持ってなかったって事に安心したんだよねー。まじでどっかで見つかって殺されんじゃねーかって思ってたから。
終わった~。ここまで恐い思いはもう無いだろ。
ただいまテンションが上昇気流に乗りました。
宿に帰ると、宿の前に日本人が二人。
今日の俺は違うぜ~。ウキウキだぜ~ぃ。
「こんちわ~!!あ、おばちゃん ビアープリーズ!!
カシャ、ゴク ゴク ゴク ぷは~~~っ!!
いや~詐欺られちゃいました(笑)」
どんな話しかけ方だよ!?
この時から何度この詐欺の話をしたかな?
そんで何人この話をきっかけに仲良くなっただろう。
オイシイ話35万一括払い!! いい買い物したぜ!!
って思うわけないじゃん(笑)
開放されて明るくなったのだろう、急にいろんな人と話せるようになった。この夜他の日本人さん達がゴーゴーバーってとこに行くって話で、この日は自分も飲みたかったから連れて行ってもらった。行く途中、話を聞いてると下着のお姉ちゃんが踊ってる過激なキャバクラみたいなとこって話。
自分そういうとこ苦手なんだよな~
中に入ると、、、すごい光景だな。
登り棒みたいのがいっぱいあって、一本につき一人のきわどい下着のお姉さんや昔お兄さんだった人達が踊ってる。初めて見る光景を楽しみながらも、どうしていいか戸惑っていた。
自分と同じく戸惑ってる感じの隣の人に「自分苦手なんすよ~」って言ったら
「俺もこういう所好きじゃないんだよね~」
近くに来る女の子達をお断りしながら、なんとなく全体を見ていると、お金持ちそうな日本人っぽいおじ様がいっぱい。「ちょっと悲しいすね」って隣を向きなおすと
ぶちゅ~
あらまぁ、お熱いキスだこと、、、っておい!?
「いや~大輔君、こんないい思いしちゃっていいのかな~」
「ははは、、、」
人間て変われるんだぜ!!
他の皆様もそれはもう楽しそうで
うらやましいけど、、、うらやましいけど、、、
う、ら、や、ま、し、い、け、ど、、、お先に失礼しま~す。
タクシーで宿に帰り、旅行に来て初めて安心して眠ることができました。
もう変な染みなんて全然気になんないぜ!!
だいすけのレベルが上がった。
人並みには程遠いけど、、、。
つづく