【伝説の旅日記を公開】
若かりし頃にアジア1人旅をしたダイスケは、旅の後、『そうだ、旅の経験を文章にして、たくさんの人に読んでもらおう』と思い立つ。時代を読むセンスがあればブログを書いていたと思うのだが、スーパーアナログ人間ダイスケは、『そうだ、電車の中で読んでもらおう♫』と、書いた旅日記を印刷し、駅で配るという行動に出る。『アジア1人旅、旅日記を書いています。よろしければ読んでみてください!!』と駅前で声を張り上げ、4年という期間(旅は1年ちょっとなのに)をかけ、意地で書ききった当時の自分を、僕は今、、、あまり思い出したくない(笑)
【 過去記事はこちら 】
ひょんな事から、山の達人おじいちゃん2人組に
山のトレッキングに連れて行ってもらうことになったんよ。
富士山より高い所を何日か歩くことになりそうなんだよね。
っつ~事で、ここ中国で俺もついに山の男デビュー寸前なわけ。
へっへっへ。
ほら、俺も丁度5000mの秘境(亜丁)を目指してるところだったからさ、
その前に山の達人と一緒に山を経験できるなんてのはね~、
もう願ってもない事だよね。
ご指導ご鞭撻の程、どうぞ宜しくお願い致します。
まぁ、山っつ~のはよ、
ナメてかかっと大変な目に遭うからな、
色々と準備が必要なわけよ。
中途半端な準備で行くとマジで命に関わっからよ。
「ちゃんとした準備をする」
これはもう山に対しての礼儀だね!!
まずは自分の装備だな。
4000mにもなると、日差しは強いし、雪の照り返しもすんげぇから、
日射病、熱射病対策&目を守る為に、帽子とグラサンは必需品なわけ。
(達人によるとね。笑)
帽子、、、
アフロだから要らないっしょ。
グラサン、、、
要らねーな。俺のメガネUVカットですから!!
「出発前の素人はやたら強気」の法則、、、
防寒具は目指している亜丁(ヤーディン)の為に成都で買った、
ダウンの「CHINA POLICE」ジャケットと、
ハイパーもこもこズボンが早くも役に立ちそうだ。
これに関しては、山の達人2人も、
「これなら大丈夫でしょう。」と太鼓判。
「靴は布の運動靴(しょぼい)があるから大丈夫だし、、、」
2足持ってる達人がトレッキングシューズを1足貸してくれた。
「靴下はスニーカーソックス(くるぶしまでの)でいいや」
達人が靴から膝下までをカバーするやつを貸してくれた。
「雨具は折り畳み傘で、、、」
達人が防水のスタジャンを貸してくれた。
「あ、ど~も。ありがとうございま~す。」
素人に足引っ張られないように必死だったんだろうね(笑)
「~大丈夫だし、、、 ~でいいや。 折り畳み傘で、、、」
良くねぇよ!!
今になって、
あの時の達人の心の声が痛いほど聞こえます。
なんか本当スイマセン、、、
当時の自分に代わってお詫び申し上げます。
あいつマジぶっ飛ばしときますんで。
宿で紹介してもらったレンタルショップで寝袋をレンタルして、
俺の準備はひとまずOK。
次はトレッキングのプランを固めて、
荷物運びの馬と馬方の確保だ。
馬方っつーのはねぇ、えーっと、、、
馬の世話人兼道案内みたいな感じかな。
っつ~ことで、達人の知り合い?ここで知り合った?
よくわかんねぇけど、その人がやっている
登山用品店みたいなところに行った。
ここはもう完璧達人におまかせですよ。
なんか地図とか開いて、いろいろ話してんだけどさ~、
訳わかんねんだもん。
この店のBOSSが日本語ペラペラでね、日本語なのに意味プ~(笑)
達人:「ひらた君、こんな感じになりましたよ。よろしいですか?」
あ、はい、、、なんでもいいっす!!
まぁ、なんとかルートと予定も決まり、
馬と馬方の手配も済んだ、、、らしい。
まずスタート地点(3000m)
まで車で行って、トレッキングスタート。
初日は富士山より高い所(3800m)でキャンプ。
翌日、4650mの峠を越えて、4000m超えでまたキャンプ。
3日目は4000m超えをひたすら歩き、チベット人の民家に宿泊。
4日目は4500mの峠を越えて、3600mの所にある寺に2泊。
車が走る道路まで歩いて終了。
この間に、目的のミニヤコンガ峰(7556m)が見えるポイントが3箇所あるらしい。
ハイライトは、2泊する寺から何時間か歩いたところらしい。
どう?
説明されてもめんどくさいっしょ?
もうわかったからさ~、さっさと行こうぜって感じでしょ?
行けばわかるっしょ?
行っちゃえばなんとかなるっしょ!!
↑こういう奴、絶対一緒に行かない方がいいですよ(笑)
次は、食料の買出し。
朝メシ用にはインスタントラーメン。
昼メシは長持ちしそうなパンにハム。
晩メシは小麦粉と野菜で水団をつくるらしい。
間食用にはアメとビスケットを買った。
、、、質素だなぁ。
これで1週間ってきっついな、、、
大好きなビールを1週間も飲めない上に、メシまで質素ときたか。
でも、、、
それが山の男の宿命ならば、
これも修行と受け入れようじゃないか。
よし、タバコたくさん買っとこ!!
その夜、何故か登山用品店のBOSSと飲みに行き、
何故かご馳走してもらい、
達人たちがミニヤコンガトレッキングの話をしている中、
俺は天才的な話術で話題を逸らし、
秘境亜丁(ヤーディン)の話に変えた。
だってそっちは一人で行くんだよ?
いっぱい聞いておかないとねぇ。
おかげで、やさしいBOSSからたくさんの貴重な情報を頂きました。
うん、俺自己中なんだよ。
実感の全く無いまま、出発の朝が来た。
宿に使わない荷物を預け、迎えに来た車でスタート地点に向かった。
スタート地点では2頭の馬とチベット人の馬方、
そしてその家族?っぽい人達が待っていた。
っつーか、その人たちの家がスタート地点だった。
馬に重い荷物をくくりつけ(俺以外が、、、ぷぷ )、
達人たちが最後の打ち合わせを終え、準備は整った。
そんで、出発の景気づけに、彼らの家で朝飯を頂いた。
その朝飯がさ~、「ツァンパ」っつ~んだけどさ、なんかね、
きな粉みたいな粉に塩ミルクティーを混ぜて、こねて食うのね。
う~ん、決して不味くはないんだけど、一口で充分って感じなの。
塩ミルクティーは普通に旨いけどね。
チベット人さんて、山を旅する時とかって、
何日もこれだけしか食べない時もあるんだってさ。
せっかく出してくれたのに、残したら悪いと思って、
気合で全部食ったんだけどさ、
おかげで、俺らが持ってきた質素な食事がご馳走に思えてきたよ。
さぁ、出発だ!!
馬方、馬2頭に続いて、
口ひげ達人、あごひげ達人、アフロ凡人が続く。
大自然の中、
いつもより近い空の下、
爽快な気分で順調にスタートした。
最初は、、、
待ってろよ、ミニヤコンガ!!
ひらた君、山デビュー!!
はぁ~気持ち良い~。
やっぱ自然の中を歩くっつ~のはいいもんだなぁ。
歩き始めて約3時間。
道もそれ程厳しい訳でもなく、
かといって飽きてくるようなつまらない道でもない。
森の中で香る緑、近づいてくる川の音が耳に心地良い。
まるでテレビで観るような景色の連続で本当に疲れを感じない。
誰かにペースを合わせる訳でもなく、
一人一人の間が数百メートル開くのは当たり前で、
各々のペースで歩いているのも気楽で良い。
それに、、、
大自然の中の立ちションとかハンパ無ぇ。
森を抜け、しばらく行くと、開けた草原に出た。
向こうの方では、先に行っていた馬方さんと2頭の馬が
荷物を下ろして休んでいる。
どうやらここで昼休みのようだ。
「ひらた君、昼食にしましょうか。」
「は~い。」
中国四川省のチベットエリアにある「康定(カンディン)」という町。
ここで、ミニヤコンガという7556mの山を見に行くという、
口ひげ達人(73歳)と、あごひげ達人(65歳)の
トレッキングに着いて行かせて貰うことになった俺。
数日前までは、
こんな素敵な場所に来れるなんて思いもしなかったけど、、、
う~ん、人生ってホント何があるかわかんねぇもんだな。
良い事あったり、悪い事あったり、上がったり、下がったり、、、
心電図か!?
メシを食い終わり、
口ひげ達人が馬方さんに中国語で自分を紹介してくれた。
「私は○○。彼は××。この彼は ひらた。」
この時は、、、
この昼休憩でさ、ようやくね、
初めて馬方さんとちゃんとしたコミュニケーションが取れて、
言葉が通じないながらもさ、なんとか、それなりに仲良くなれたんよ。
だってさ~、馬方さんの歩くペースって、ハンパじゃ無ぇんだもん。
一緒にスタートして5、6分したらもう見えないからね。
マジ、道迷ったらどうしてくれんだよ(笑)
さぁ、休憩も終わって出発って時にさ、
遠くの雲が晴れて氷山が見えたんよ。
いやぁ~テンション上がったね~。
俺、雪山なんて富士山しか見たこと無かったからさ。
しかも富士山みたいにきれいな形じゃなくて、
この世のモノとは思えないようなワイルドな形してる訳。
生まれて初めて「あの山格好良い~」って思った。
現在の標高3600m。
富士山の頂はすぐそこだ!!
よっしゃぁ~、行くぞ~!!
この頃、空気が薄いせいか、時々軽い頭痛を感じたものの、
初めて見る山の上の景色への感動で、この後も爽快に歩き続ける事ができた。
16時半、富士山越えの3800mに到達。
どうやら初日のキャンプはここでするらしい。
キレイな川に沿った鮮やかな緑の芝生。
最高に気持ちの良い場所だ。
まぁでも、
だいたい過去っつ~のは美化されっからな、実際は、、、
まぁまぁキレイな川に沿った
というほど近くではない緑っぽい草もある場所
って感じかな(笑)
ぶっちゃけ、
「最高に気持ちの良い場所」って書くほど覚えてないしね(笑笑)
達人2人はテントを張り、俺は川から水を汲んできた。
達人たちのキャンプ用品で水を沸騰させ、明日の飲み水を作る。
その間に、持ってきた小麦粉をこねて、団子を作る。
塩、コショウ、コンソメでスープに味付けし、
ネギを入れて、ちょっと煮込めばおいしい水団の出来上がり。
絶景という名のスパイスで味は格別よ。
もうすでに俺は山の男だな、、、
ちょっとした勘違い。
飯を食い終わって、片付けをし、至福の一服、、、
きっつ!?
くらくら~
標高のせい?
富士山越える恐るべし!!
タバコって身体に悪いんだなぁ~。
久しぶりに思った。
この後、一日1箱ペースの俺がほとんどタバコを吸わなくなった。
いっぱい持ってきたのに、、、
まぁ、でも、山っつ~のは健康に良いんだなぁ~。
素晴らしい!!
早く下山してタバコ吸いてぇなぁ~(笑)
まだ明るいけど、明日も早いからっつ~ことで寝ることになった。
俺にとっては、ガキの頃以来のテント。
なんかワクワクするなぁ~。
でもね、、、
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
2日前、、、。
達人:「テントは2人用だけど、3人入れるから大丈夫だし、、、」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
なんか見た感じさ~、
3人とか入れそうに無いんですけど、、、
あ、入った。
荷物はテントの外に。
縦長のテントの中は、足、頭、足の完璧なフォーメーション。
さっすが達人!!
天才的な空間把握能力!!
って無理やりじゃんか、、、
まぁ、俺のせいだしな。文句は言えねぇよな。
ちょっと窮屈だけど、まぁ寝袋に入ってるから、
頭の両脇にある足も気にならないし、
寒みぃからくっついてるくらいが丁度良いや。
しかし、、、なんだかな~、
さっき確認したときは大丈夫だと思ったんだけどなぁ~、、、
傾斜、、、
頭の方が、、、
下がってんなぁ。
なんとか寝れるように試行錯誤していると、
足元からはいびきが聞こえ始めた。
今更、テントの場所変えてなんて言えねぇよな~。
あぁ~頭に血が、、、
あまりの寝辛さに深夜、
テントを抜け出し外で寝るのを試みた。
うん、寒すぎ。
無理。
ぬぁぁああ、寝れねぇ!!
自分の頭の位置に来るように
自分の靴をテントの下に滑り込ませ、
自分のカバンを中に持ち込み、
枕にして、ようやく少し眠ることができた。
なんか寂しい、俺。
1時間? 2時間?
起きる時間が来ちまった。
あぁ~頭痛が、、、
上がらないテンションで寝袋を片付け、テントを出ると、、、
???
達人たちがテンパってる。
「どうしたんすか?」
口ひげ達人:「私の荷物が無いんですよ!!」
「マジっすか!?」
どうやら寝ている間に盗まれたらしい。
しかも、かなり貴重品が入ってたみたい。
こんな山の中で、、、。
昨日6時間位歩いて誰にも会わなかったのに、、、。
やべぇ、気まじぃ。
俺のせいで荷物を外に置かなきゃだったんだ。
「君の荷物は大丈夫でしたか?」
「あ、はい、、、(枕にしてたんで、、、)」
食料の入ったダンボールも一つ無くなってたけど、
それは近くに落ちていた。
中身も無事みたいだった。
でも、達人のカバンは、、、無い。
「悔しいけどしょうがない!!
ここまで来たんだから先に進みましょう!!」
それでも先を目指すのか、、、
男だ!!格好良い。
大きなトラブルから始まった2日目。
こうなりゃ上向いて行くしかねぇ!!
口ひげ達人:「じゃぁ行きましょう、川田君!!」
「はい。」
ん?
まいっか。
あぁ~頭痛てぇ、、、
寝不足? 高山病? なんでもいいから休みてぇ。
中国四川省で、山の達人2人に連れられ、
山のトレッキングにやってきて二日目。
深夜、自分のせいで、
口ひげ達人の荷物が盗まれるという気まずい事件が起きてしまった。
それに加えてこの頭痛、、、。
今日はハードな一日になりそうだぜ。
口ひげ達人:「じゃぁ行きましょう、川田君!!」
「はい」
、、、ん?
今日は昨日と全然違って、道がハンパ無く厳しい。
出発直後からすんげぇ登り。
3800mからスタートして、
4000mを超える頃には、高山病の症状が出始めた。
朝からの頭痛が悪化、
ノドが異常に乾く、
ケツ、、、
かゆい。
頭痛はどうにもなんねぇし、
限りある水を自分だけガブ飲みする訳にいかねぇし、
ケツはどんだけかいてもかゆいし、、、
高山病、きっつい。
自分にとっての救いは、すんげぇ景色。
周りにそびえる5000、6000m級の山々が視野に入ると、
辛さを一瞬忘れることが、、、
やっぱ景色どころじゃないわ。
今日はこのトレッキングで一番標高の高い、
4650mの峠を越える。
この体調で。
だめだ、、、かったりぃ
寝たい、帰りてぇ、あぁ~、、、
4000mを超えてもひたすら続く登り。
恐ろしいくらいに身体が重いんよ。
生まれて初めて酸素の薄さをリアルに感じてる。
そんな中、チベット人の馬方&馬2頭は、、、
スタスタスタスタ
パカパカパカパカ
遥か彼方。
くっそ~、あいつ~、
馬方っつ~のは馬の世話人兼道案内じゃねぇのかよ?
マジで「兼道案内」のところはゼッテェ認めねぇぞ。
そんなことを考えながら気合で後を追いかけた。
身体が思うように動かない中、俺は達人2人に大きなリードをつけて、
「達人だろうと何だろうと、73歳と65歳に負けるわけにはいかねぇ」
っつって、とにかく頑張って歩き続けた。
でも、、、
休憩でみんなが集まると、2人の達人に言われた。
「頑張っちゃだめですよ。意識してゆっくり歩きなさい。」
頭も痛てぇし、ノドカラカラだし、
その時は深く考えないで「は~い。」って答えた。
頑張るのをやめ、マイペースで歩いて次の休憩を迎えた。
それでも達人たちはまだ大分後ろにいる。
いくら達人っつってもやっぱ体力では負けねぇな。
そう思った。
「川田くん、まだ早いですよ。もっとゆっくり歩いてください。」
ゆっくり歩いてるし。
そっちが遅すぎるだけっしょ、、、
つ~か川田じゃねぇし
高山病の辛さで、俺、性格まで悪くなってきやがった。
これが追い込まれた時の俺の本性か。
小っちぇなぁ、俺。
でもイライラすんだよぉ~!!
それからまたしばらく歩き、
ず~っと下を見ながら歩いていた俺が、ふと顔を上げた。
そこには、ものすんげぇ景色があった。
ハンパ無ぇ迫力の氷山。
今日、スタートからず~っと下向きだった俺は、
この日初めて景色に浸った。
山の景色を楽しみに来たはずなのに、
今日初めてちゃんと景色を見た気がする。
めちゃくちゃキレイじゃねぇか、、、
大分遅れて、達人2人が追いついてきた。
2人は喋ったり、写真を撮ったりしながら笑顔で登ってくる。
なんだろ?
もうとにかくめちゃくちゃ楽しそうなんよ。
こん時、2時間前に達人から言われた事を思い出した。
「頑張っちゃだめですよ。意識してゆっくり歩きなさい。」
あぁ、そういうことか、、、。
そうだよな、、、俺、楽しみに来たんだった。
高山病め~、
俺にこんな大事な事を忘れさせやがって。
「頑張っちゃだめですよ。意識してゆっくり歩きなさい。」か。
こりゃ人生にも言える事かもしんないな。
さすが山の達人、そして人生の大先輩。
深イイぜ!!
よっしゃぁ~!!
楽しむぞぉ~~~~い!!!
なんて言っても高山病は治らないんですけどね、、、。
このときを機に、俺、更にゆっくり歩いたのね。
そしたらさ、達人たちと同じペースになったの。
もしかしたら達人が合わしてくれたのかもしれないけど、
そうなったんよ。
色んな事喋りながら歩いてさ、
お互い写真撮りあったりしてさ、
高山病は相変わらず辛いんだけど、大分楽しくなった。
やっぱこうでなくちゃな。
俺、成長中。
歩き始めて約4時間。
この辺は雪がまだ残っている。
少し先では馬方さんが上の方に指を指しながら何か言っている。
指の先を見ると、カラフルな旗がいっぱいあった。
あれはもしや、、、
峠だ。
峠だ。
峠だ~!!
ついに峠のてっぺん到着。
すげぇ。
一瞬、ホント一瞬、頭痛が飛んでった。
でも頭痛の野郎、、、
速攻帰ってきやがった。
達人が記念にっつって、写真を撮ってくれる。
すごいいっぱい。
危うく、
もういいから早く行きましょうよ(怒)
って言いそうになった(笑)
4650mまで行ったって、超すげぇじゃん?
自慢したいわけよ。
でもね~、、、
辛かったって事しか覚えてねぇから無理なんだよね、、、。
ここからは下りだ。
達人によると、下って行けば高山病も良くなってくるとのこと。
おっしゃ~速攻下ってやるぜぇ~!!!
俺、超~一生懸命歩いた。
少しでも早く辛さから開放されたいから。
だからさ、できる限りのスピードで歩いたんよ。
マジ超~頑張ったんだよ。
なのに、、、
なんで達人は遥か先の方を歩いてるの?
だって登りの時は、、、
本当に意識してゆっくり歩いてたんだ、、、。
3時間後、
4200mまで下り、今日のキャンプ地に着いた。
俺、限界、、、。
その場で、下ろした自分のカバンに倒れこんだ。
テントを作るのも手伝えず、作ってもらったテントで横になった。
アンビリーバボーな頭痛に、
飲んでも飲んでも潤わないノドの渇き。
完璧ダウン。もうKO。
飯も食わずに寝込んでいる俺の様子を、
口ひげ達人が見に来てくれる。
「大丈夫? 川田君。」
「、、、。」
大丈夫、、、
じゃねぇ。
山の達人2人組に連れられ、
中国四川省の山を歩いて2日目。
3800mから4650m、そこから4200m。
急なアップダウンのせいか、自分のペース配分の間違いか、
山ど素人の俺はキャンプ地に到着と同時に高山病にKO負け。
昨日の今頃は、
「俺はもう山の男だな」とか言ってたのに、、、
翌朝、
ぐっすり眠れたのが良かったのかな?
体調万全とはいかないまでも、そこそこ回復していた。
起きると、横には65歳のあごひげ達人だけが寝ていた。
73歳の口ひげ達人は、
自分に気を使って、馬方さんのテントで寝てくれたらしい。
「よし、今日も頑張ろう!!」
っつ~気には全くなんなかったけどさ、
これ以上迷惑かける訳にいかねぇし、頑張るしかないべな。
よし、うんこ!!
テントを出ると、外は小雨が降っていた。
雨の中、絶妙なバランス感覚で傘を差しながらの野グソを終え、
テントに戻ると、達人2人は起きて外に出てきていた。
口ひげ達人:「おはようございます、川田君。調子はどうですか?」
俺:「、、、。 おはようございます。おかげさまで、、、。」
あごひげ達人:「よかった。今日も頑張りましょう、ひらたさん。」
俺:「はい!!」
3日目、無事スタート。
スタートから順調に歩き、
お昼を過ぎた頃かな? 雨が強くなってきた。
なんだよ、かったりぃなぁ、、、
雨のせいか、景色も大したことないし、
道もず~っと平坦で飽きた。
それに加えての雨だったからさ~、
もうなんかめんどくさかったんだよね~。
この日の目的地はチベット人さんの家。
そっちはちょっとワクワクするじゃん?
ほら、家族と仲良くなってさ~、
「君はもう私達の家族だ」的な展開とかあるかもじゃん。
だから、早く着かねぇかなぁ~って感じだよね。
でも、雨ガンガン強くなるんだ。
もう大雨、
いや豪雨、
っつ~か滝。
もう最悪だよ、マジ。
びしょ濡れどころじゃねぇから。寒み~しよ~。
標高4000m超えてっから、
高い木とか全く無いし、雨宿りなんかできねぇんだわ。
ボチャッ!! ボチャッ!!
傘、重っ!?
マジっすか!?
みぞれっすか!?
ちょ、も~勘弁してよ~。
パンッ!!
パンパンパンパンッ!!!
イテッ!?
イタイタイ、、、
痛ってぇ!!
えぇ~、、、ひょうって、、、
空から降って来た物が地面に転がってるとか反則だから。
もうどんっどん天気悪化していくんだわ、マジ。
前進めねぇよ、こんなん、、、
、、、って、達人遥か先にいるじゃねぇか。
鬼だな、あのじいちゃん。
ひょうがスーパー吹雪に変わった、、、。
もう傘とか全く意味無し。
前とか全っ然見えないんですけど、道あってますよね?
まぁ分かれ道も無さそうだし、一直線だから大丈夫ですよね、、、
天国まで
あぁ、俺はこんなところで死ぬのか、、、
目もロクに開けられず、
寒さに震えながら、ひたすら進み続けた。
「お~~~い!!」
お茶、、、
ん? なんか聞こえんなぁ。
「お~~~い!! 大丈夫かぁ~~!!」
口ひげ達人の声だ、、、。
う~ん、大丈夫じゃ無ぇな。
返事すんのもだりぃ。
いいよなぁ、達人は。
服の装備もバッチリだし、こんな天気もヘッチャラなんだろうなぁ。
どうせ死ぬのは俺だけですよ。
上着は「CHINA POLICE」とか書いてある
1500円くらいのダウンジャケットもどきだし、
ズボンはダイエーの特売で買った、夏物のカーゴパンツだし、
帽子代わりのアフロはびしょびしょでボリューム無くなったし、、、
あぁ~、寒みぃ、、、
何で俺、こんな装備で来たんだろ、、、
山舐めてんじゃねぇよ、4日前の俺。
「お~~~い!!大丈夫か~~!!
川田く~ん!!」
あ、、、俺、「川田君」のまま死にたく無ぇ。
「もうちょっとだぞ~!! 頑張れ~~~!!!」
父ちゃん、母ちゃん、俺頑張るぜ。
代々受け継がれてきた苗字を俺で途切れさすわけにはいかねぇ!!
俺は「ひらた」だ~!!
十数分後、
チベット人さんの家になだれ込み、
挨拶も早々に、牛のうんこが燃料の暖炉にへばりついた。
牛のうんこじゃなくて俺がね。
超ミラクルハイパーびしょ濡れの俺の身体は、
暖炉の熱を感じるまでに30分以上かかった。
恐ろしいくらいに震えが止まんねぇけど、、、
俺、生きてる。
2時間以上温まり、服も乾き、、、
俺っち完全復活!!
あぁ、暖炉ってなんて素晴らしい物なのだんろう
自分達の夕食(水団)を食べると、
達人たちは先に就寝した。
俺は、「お前は家族だ」計画を進める為、
超気まずいながらも気合でチベット人さんの家族の輪にいた。
そしたらさ~、メシご馳走になっちった。
丸3日間ロクなもん食ってなかったから、超~嬉しい。
ジャガイモと練り物と山牛のスープ。
超うんめぇの。
幸せだ~!!
でも、、、
なんだこの「わんこ蕎麦方式」。
断れねぇ、、、。
腹が、、、
何はともあれ、身も心も温まった
ってお話でした。
4日目、、、
昨日からの雪がまだ降り続いてる。移動を断念した。
なんか、チベット人さんの家、トイレ無いの。
っつ~ことで雪の中で野グソだよね。
ここ標高高いじゃん?
だから、拭いた紙とか、なかなか土に返らないんだって。
だから燃やすのね。
その火に手をかざして温まってました、、、。
マジ、いろんな意味で寒みぃから。
この日はただひたすら、暖炉のそばでゆっくりと過ごした。
口ひげ達人:「ほんと、嫌になっちゃうねぇ~、この天気。
そう思いませんか? 川田君。」
ひらた君:「、、、嫌になっちゃいますね~(苦笑)」
つづく