伝説の旅日記「おもしろそうだからやってみよ。」61st Try 〜 64th Try - フィリピン留学・セブ留学|英語学校 - CROSSxROAD
2019.06.30

伝説の旅日記「おもしろそうだからやってみよ。」61st Try 〜 64th Try

【伝説の旅日記を公開】

若かりし頃にアジア1人旅をしたダイスケは、旅の後、『そうだ、旅の経験を文章にして、たくさんの人に読んでもらおう』と思い立つ。時代を読むセンスがあればブログを書いていたと思うのだが、スーパーアナログ人間ダイスケは、『そうだ、電車の中で読んでもらおう♫』と、書いた旅日記を印刷し、駅で配るという行動に出る。『アジア1人旅、旅日記を書いています。よろしければ読んでみてください!!』と駅前で声を張り上げ、4年という期間(旅は1年ちょっとなのに)をかけ、意地で書ききった当時の自分を、僕は今、、、あまり思い出したくない(笑)

【 過去記事はこちら 】

1st Try 〜 4th Try 

5th Try 〜 8th Try

9th Try 〜 12th Try 

13rd Try 〜 16th Try

17th Try 〜 20th Try 

21st Try 〜 24th Try

25th Try 〜 28th Try 

・29th Try 〜 32nd Try

33rd Try 〜 36th Try

37th Try 〜 40th Try

41st Try 〜 44th Try

45th Try 〜 48th Try

49th Try 〜 52nd Try

53rd Try 〜 56th Try

57th Try 〜 60th Try

 

 

 

61th Try

何不自由ない家に生まれ、

親に勧められるまま入学した

超一流と言われる小・中・高・大学を卒業。

 

親の伝手で大手企業にエリート採用され、

親の名字の力でどんどん出世し、

某大手高級車メーカーの社長令嬢と結婚、、、

 

こんな敷かれた一本のレールの上を歩き続けるなんて、、、

 

もう嫌だ!!

 

 

 

っていう人がいるなら、マジ羨ましい!!

 

 

 

何不自由ない家には生まれた。

板橋区に勧められるまま入学した公立小を卒業し、

合格確立5%未満の一流私立中学にマグレ入学。

 

エスカレーター式で一流高、一流大に進むも、

学力の限界を迎え半年で中退。

 

一流大を中退した奴は大物になる

っつ~ジンクスを心から信じるフリーターになり、

まもなく第3次反抗期を迎え、19歳で不良を目指す。

 

まだ19なのに酒を飲む(レモンサワー)

というとんでもない悪事を働き、

将来グレた子供に

「お父さんも昔は相当なワルでな、、、」

って言って気持ちをわかってあげる予定の俺が

初めての旅に出て、約2年。

 

2度目の旅に出た俺は現在、

中国雲南省の奥地を歩いている、、、。

 

「崖崩れ」に始まった山奥の村「雨崩」への旅。

 

途中、「腹崩れ」もあり、

「雪崩」の危険を感じるという恐怖も体験した。

 

でも、「計画崩れ」になる事も無く、

本当に素敵な時間を過ごせたと思う、、、

 

 

思っていた。

 

 

第5次反抗期を終え、

「母ちゃん生んでくれてありがとう」

と素直に思える今の俺は、

 

「雨崩」を出発し、町を目指して、

断崖絶壁、幅約1mの道を歩いている。

 

崖の高さは裕に100mを超えるだろう。

 

ついスキップなんかしちゃって、

バランスを崩したら、落ちるまでに

「母ちゃん生んでくれてありがとう」って8回は言えるだろう。

 

しかも、

遥か先まで同じような道が続いているのが見える。

 

こんな危険な一本のレールの上を歩き続けるなんて、、、

 

ほんとマジで嫌なんすけど!!

 

 

 

そんな道を恐る恐る、しばらく歩いていくと、、、

 

あれ? 

あれれれ?

おかしいね? 

うん、おかしい。 

とってもおかしい。

 

 

 

2mくらい道無いもん。

 

完全に 「道崩れ」 ちゃってるもん。

 

 

 

これは、、、

 

 

どうする?

 

 

「ぴょんっ」 てやるしかないかなぁ?

 

 

でもこれ、

手前のギリ崩れて無いとことか、超道幅狭くなってんの。

 

絶対やばいよ、これ。

ギリギリまで行ったら崩れっから、マジ。

 

そしたら、これ3mくらいぴょんしないとだめじゃね?

 

ちょっと待ってよ、、、

荷物だって結構重いぜ、これ。

足場だって悪りぃし。

 

 

そういえば、

さっきヤギたくさん連れた女の子達と会ったけど、、、

 

 

ぜってぇ何匹か落ちてるっしょ!?

 

 

 

まぁ、でも行くしかねぇもんな、、、。

 

 

 

す~っ、はぁ~っ、、、

 

ひっひっふぅ~、、、

 

俺は男だ~。男だ俺は~。

 

行け、行くんだ。

 

おまえならできる、、、

 

 

 

けどやっぱ俺にはできねぇ!!

 

 

おまえはできるけど、、、笑

 

 

 

って、んな事言ってる場合じゃねぇだろ!!

 

 

 

くそぉ、早く行かねぇと、、、

 

 

 

ふぅ~、、、行くぞ~。

 

今度こそ、、、

 

大丈夫。俺は死なない。

 

こんな所で死んでたまるかぁ。

 

俺はこの旅で、

 

一人旅してるダンス好きのかわいい女の子と出会って、

日本でキレイな芝桜見に行って、

君の方がキレイだよって言って、

それから温泉行って、

貸切露天風呂でイチャイチャする

 

 

っつ~夢があるんだ。

 

 

だから、、、

 

行くぜ!!

 

 

タッタッタ、、、

 

せ~のっ!!

 

 

 

って言ったら行こう。

 

うん、そうしよう。

 

「せーの」で行こう。うん。

 

 

ちょっとその前に、

この崩れてるとこ写真撮っとくかな。

 

うん、そうしよう。

ほら、やっぱ記念って大事だもんね。

 

 

よ~し、、、

 

せ~のっ!!

 

 

 

 

 

パシャ!!

 

 

 

 

あ~、なんか飽きてきた。

 

行くか、、、

 

いよっとぉ!!

 

ぴょんっ 

 

ふぁっ!?

 

よっ!!

 

はっ!! 

 

おいしょぉ~!!

 

 

奥義!!

「せ~の」で行くっつって、

「せ~の」言わない大作戦

 

でなんとか無事ぴょんしたけどさ~、

マジ危なかったわ~。

 

逆っ側の壁に捕まった瞬間、

リアルにグラついたもん。

 

小石とかパラパラ崖の下に落ちて行くし、、、

 

この後、しばらくはさ、

足が震え、、、いや、

 

ロックで育った俺の脚が

ビートを刻むのを止められなかったよね。

 

 

この後も、2~3回「ぴょんスポット」があったけど、

それも俺の持って生まれた人並みの跳躍力でなんとか超えてさ、

崖沿いを歩く事数時間、、、

 

 

「西当」っつ~村らしき場所の端っこに着いた。

 

 

そのまま道なりに川のほうに下りて行くと、、、

 

あぁ~、よかった、、、。

 

 

3日前、

「行き」に通った橋が見えた。

 

 

ずっと、合ってるかどうかわからないで歩いてたからさ~、

マジでほっとしたんよ。

 

さぁ、あとは分かる道だから一安心だ。

 

けど、、、

 

残り少なくなってきた水を一口だけ飲み、

煙草を吸いながら考えた。

 

あの橋を渡って、

対岸の急な山道を上って行けばゴール。

 

渡らないで、村に上って行けば、宿がある。

 

そこで1泊しても、問題は、、、無い。

 

時間は、、、2時半か。

ここまで、約7時間歩いて来てる。

 

足は大分疲れてきたし、水もガブ飲みしたい。

 

でも、「西当」は興味無いし、

できる事なら今日中にゴールしちまいたい。

 

暗くなるまでには、まだ大分時間があるし、、、

 

ゆっくり行けば、なんとかなんべ!!

 

行くか!!

 

 

橋を渡り、

上り始めてすぐにもう一度休憩をした。

 

いざ急な上りを目の前にすると、足が進まない。

 

行きに下ってきたこの道が

急なのはわかっていたつもりだったけど、

 

上るとなると、

下ってきた時とは比べ物にならないほど急に感じる。

 

お茶を一口飲もうと思ったけど、

今はやめておく事にした。

 

1ℓのペットボトルの水はとっくに無くなり、

500mlも入らない水筒のお茶も約半分になってた。

 

歩き出すと、

自分の足がとんでもなく疲れている事に気付いた。

 

ゆっくり行くっつ~よりもさ、

次の一歩を踏み出すのに、

気合いを3万馬力くらい使わないと行けねぇんだわ。

 

底無しだと思ってた自分の気合いが

限界に近付いてるのがわかる。

 

 

やべぇ、、、

これは本当にやべぇぞ、、、

 

 

1時間も歩いた頃には、

一度に10歩歩くのが限界にまでなってた。

 

気合いで10数えて休む。その繰り返し。

100メートル歩くのに何分かかったかわからない。

 

更にやばい事に、お茶が無くなった。

できる限りちょっとずつ飲んでたんだけど、、、。

 

ノドがカラカラだ、、、。

暑ちぃ~、、、。

 

あぁ~、、、辛れぇ。

水飲みてぇ、、、。

 

 

 

しばらくすると、

続けて10歩歩く事もできなくなり、

5分も立っていられなくなった。

 

 

あれ?

俺、、、汗も出て無ぇじゃん、、、

 

 

だめだ、、、これ、

マジ、、、歩けねぇ、、、

 

 

 

 

 

気を失った。

 

 

 

 

 

 

 

62th Try

 

あ、、、

 

寝ちまったのか、気を失ったのか、、、

 

まぁ、話の盛り上がりを考えると、気を失ったって事にしておこう。

 

 

ふと気づき、

時計を見ると30分以上もの時間が経っていた。

 

焦って身体を起こそうとしたけど、経験した事の無い疲れと、

異常なまでの喉の渇きでなかなか身体が反応してくれない。

 

なんとか水筒を取り出し、口に傾けた。

でも、もう一滴の雫すら落ちてこない、、、。

 

汗も出なくなった身体は、

寒いのか暑いのかも分からなくなっていた。

 

う~ん、これは、、、

マジでやべぇな、、、。

 

 

 

中国雲南省の山奥の村「雨崩」から、

「徳鎮」という町に戻るため、「飛来寺」という場所を目指している。

 

森を歩き、崖っぷちを歩き、

最後の長くて急な上りを這うようにして上ってきた。

 

歩き始めて8時間を超え、水も尽きた。

 

続けて10歩進むこともできなくなり、

たったの3分立っていることもできなくなった。

 

ひたすら続く上りの途中、

座り込んでしまった俺は、そのまま気を失ってしまったらしい。

 

立ち上がれないまま先を見上げる。

相変わらず目の前に立ちはだかる急な上り坂を、

数十m先で木が覆って隠している。

 

それが良いのか悪いのか、

残りの距離が分からないばかりか、

道が合っているかどうかさえ自身が無くなった今、

俺には残酷なほどに永い道のりに感じられた。

 

自分の首を絞める事になるのはわかっていた。

それでも水分の無くなった身体に

煙草の煙を入れずにはいられなかった。

 

というより、

煙草を吸う以外に、できることが思い浮かばなかった。

 

くしゃくしゃに曲がった煙草をくわえ、火を点ける。

何回目かでようやく火が点いた。

 

極限状態の中で吸う煙草は、

いつもより数倍キツく感じる。 

いわゆるヤニクラってやつだ。

 

そんな状態が気持ち良く、

リュックに寄りかかったまま、いろいろな事を考える。

あとどれくらい上ればいいのか、、、。

いっそこのまま寝てしまおうか、、、。

 

 

 

誰か通りかかってくれねぇかなぁ、、、。

一口でいいから水が飲みてぇ、、、。

 

 

 

 

陽は低くなり、時計は4時を周った。

辺りはまだまだ明るい。

 

でも、夜を意識せずにはいられなかった。

 

あぁ、、、やべぇ、暗くなっちまう。

こんな予定じゃなかった。

 

 

気持ちいい汗をかいて、飛来寺にあるお洒落なカフェで☕️

キンキンに冷えたおいしいビールを飲む予定だったのに、!?

 

 

 

そうだ!!ビールだ!

 

この極限状態で飲むビール。

 

なんて魅力的なんだ!!

 

あとちょっと、

あとちょっと行けば、、、

 

 

人生で一番美味い

ビールが待っているじゃないかぁ!!

 

 

いっぱいになった携帯灰皿に煙草を押し込み、

気合いで立ち上がった。

 

リュックを背負い、

死に物狂いで足を前に出す。

 

数歩進んでは止まり、

身体全身に襲いかかる重力に必死で抵抗して、また前に進む。

 

次に座ってしまったら、

もう立ち上がれないと思った、、、。

 

とにかくビールを飲む事だけ考える。

その至福のひと時だけの為に俺は歩く。

 

今俺を支えているのはビールだけだ。

 

キリンでもない、アサヒでもない、

通常時に飲んでもあんまりおいしくない、、、

 

 

青島ビールだけなんじゃぁ!!

 

 

座っちゃだめだ、、、。

 

進め、進むんだ、、、。

 

 

波を、、、チャプチャプ、、、♪

チャプチャプかき、、、分けて、、、♪

 

雲を、、、スイスイ、、、♪ 

ハァハァ、、、

 

スイスイ追い、、、抜いて、、、♪

 

苦しいことが、、、あるだろさ、、、♪

ハァハァ、、、

 

悲しいことも、、、あるだろさ、、、♪

ハァハァ、、、

 

だけど、、、

ハァハァ、、、

 

僕らは挫、、、 ハァハァ、、、 

けない、、、♪♪

ハァハァ、、、

 

死ぬのは、、、嫌だ!!

 

飲んじゃお~♪♪♪

 

すすめ~♪♪

 

 

ぬぅ

おりゃぁ

ぁぁあ

あああ!!!

 

 

とにかく前へ、前へ、、、

気合いで足を進めた。

 

きっと、、、あとちょっとだ、、、。

 

もうすぐ、、、

もうすぐゴールなはずだ、、、。

 

 

 

何度も立ち止まり、

倒れ込みそうになるのをこらえ、

必死に、前へ、前へ、、、。

 

 

ビールが俺を待ってるんだ、、、。

もうちょっとなんだ、、、。

 

 

でも、、、

 

もうダメだ、、、。

 

 

 

ばたんきゅ~

 

 

 

倒れ込んでしまった。

 

もう、動ける気がしなかった。

頭の中からビールが消えていく、、、。

 

 

俺、、、マジ死んだ、、、。

 

 

 

目を閉じた。

 

 

 

 

 

Broooon

 

Broooooon 、、、

 

 

 

!?

 

 

 

 

車の音!?

 

 

 

 

確かに車の音だった。

 

なんとか立ち上がり、上を見ると、

斜め上の方に車が走っているのが見えた。

 

その車は自分の真上の方に向かって走り、

姿は見えなくなったけど、音はどんどん近付いて来る、、、。

 

 

ゴールはもう、すぐそこなんだ!!

 

 

 

本当に最後の力を振り絞り、足を前に進めた。

 

すると、数分後、、、

カラフルな旗が見えた。

 

見覚えのある、カラフルな旗。

 

50mも無いその旗のところまで、5分以上かけて歩いた。

 

そこから上を見上げると、、、

 

あった、、、入口、、、。

 

 

ゴールだ!!

 

 

ゴールが見えても進まない足で、

10分以上をかけて、ついに飛来寺に辿り着いた。

 

フラついた足で目の前の店に入り、

席に倒れ込むようにして座った。

 

 

我要、、、青島、、、

青島碑酒!!

(青島ビール下さい)

 

 

運ばれてきたビールの栓を開け、勢いよく喉に流し込んだ。

 

 

ゴクゴクゴク、、、

 

 

!?

 

ドックン

ドックン

ドックン!!

 

 

 

 

心臓が暴れだし、身体が震えだした。

 

 

 

なんだかわかんねぇけど、、、

極限状態にアルコールは刺激が強すぎたらしい、、、。

 

 

こうして、人生で一番美味いビールの夢は儚く散り、、、

 

 

 

我要、、、 

 

ペプシ、、、。

 

 

 

 

 

 

こんなはずじゃ、、、

 

 

 

この後、タクシーで無事に「徳鎮」に戻りましたとさ。

 

 

つづく

 

 

63th Try

 

3泊4日の刺激的な大冒険から無事生還し、

「徳鎮」の安宿に落ち着き、

4日振りのシャワーを浴びながら俺は思った。

 

あぁ~、、、気持ちぃ~❤

 

もうちょいシャワーに勢いがあれば最高なんだけどなぁ~。

まぁ、お湯シャワーなだけ良しとすっか、、、。

 

つ~か、、、 

 

中国飽きたなぁ。

 

 

日本を出てもうすぐ4ヶ月。

 

1ヶ月ちょっとをベトナムで過ごし、

中国に入国してもうすぐ3ヶ月になろうとしている。

 

日本と比べると、とてつもなく大きな中国。

3ヶ月いるっつっても、俺が見た中国なんて本当に氷山の一角だと思う。

 

でもねぇ、、、 

飽きちまったもんはしょうがないよね。

 

 

まぁ、ビザも残り少ないし、、、

 

どうすっかな? 

とりあえずラオスからタイで、、、

インドでも行ってみっかな。

 

 

今いる雲南省っつ~とこから一番行きやすいのは、

ラオスとの国境っつ~ことで、とりあえず南下していくことにした。

 

なんかね、どっかの誰かが言ってたけど、

 

どこに行くにしても、

この辺だとタイのバンコクが便利らしいんよ。

 

 

とりあえず、「徳鎮」→「麗江」→「大理」と

雲南省の有名な観光地を経由し、

省都の「昆明(クンミン)」っつ~ところに到着した。

 

「麗江」では、

貯まった汚れ物を洗濯する為に2泊した。

 

その間、日本語を操る中国人女性に連れられ、

民族チックな毛皮を羽織り、

アライグマのお尻的な帽子をかぶり、

ドラクエで最初にGETできそうな剣を持ち、

馬に乗って記念撮影

という、

 

この一大観光地の麗江で

最も人気の無いさそうな観光を満喫。

 

「大理」では

体調を崩して3泊? 4泊、、、だったかな?

 

標高が下がって暖かくなり、

布団をかぶらないで寝たせいか、高熱と激しい下痢に襲われた。

 

脂っこい中華を食べる気にはならず、

宿で出会った日本人さんが誘ってくれた

日本食屋でとろろごはんを食った。

 

下痢なのに食物繊維たっぷりのとろろごはんを食う

っつ~人生最大級のミスを犯し、

 

念願の「雨崩大冒険」の自慢話も早々に切り上げ、

店のトイレに直行。

 

扉を開けたとたんに目に飛び込んできたのは

「うんこ禁止」の文字。

 

 

 

「うんこしたら罰金」とまで書いてやがる。

 

 

クシャクシャの中国紙幣を連れの日本人さんに託して、

宿までデビューした時の宇多田ヒカル的な態勢で戻り、

なんとかとろろパンツになるという最悪な結末は逃れた。

 

まぁ、トイレは「オートマティック」じゃなくて、

おもいっきりマニュアル式でしたけど。

 

 

「大理」から電車で

約7時間かけて省都の「昆明」に到着。

 

日本だったら、

東京の実家から大阪のたこ焼きを食って

帰ってきてもおつりが来るような長時間の列車も、

この4ヶ月の経験で短距離に感じている自分がいた。

 

 

まぁ電車賃だけで考えると、

東京駅の駅弁くれぇのもんだしね。

 

 

夜も11時を過ぎて、時間も遅かったからさ、

ガイドブックを頼りに近くのユースホステルにチェックイン。

 

駅から比較的近いっつ~だけの理由で選んだこのホテルがさ~、

ドミトリー(大部屋) 1泊500円もしないのに、

高級ホテルを思わせる綺麗さでさ~、

思いもよらぬ贅沢なビールタイムを迎えることができちゃったんよ。

 

 

ビールを飲みながら、

久しぶりのソファーでくつろいでいると、

目の前のテーブルの下にノートが重なって置いてあるのを見つけた。

 

 

旅行者がたくさん泊まる安宿でよく見かける

「情報ノート」っつ~やつだ。

 

 

日本人を中心に、いろんな国の人が、

行った所とか、この辺の情報とか、

どこどこは注意した方がいいよとか、

いろんな情報を書いてるわけよ。

 

旅行者同士情報を共有して、お互い良い旅行をしようぜ

的なノリのノートって感じかな。

 

でも、まぁ、俺くらい旅の上級者になるとさ、

人の情報なんかに左右されねぇから、

ただの暇つぶしの読み物なわけ。

 

 

まぁでもね、ビール飲みながら、

酒の肴にでも読んでみっかな~ って感じで、

目を通して見ることにしたんよ。

 

 

パラパラ見ていくとさ、、、

 

○○って国の××って町では△△って宿がオススメ とか、

 

宿なんて行き当たりばったりで、

自分の足で探すのがおもしれぇのに、、、。

 

 

□□ってところ、ガイドブックに載ってないけど最高。

行き方は、、、 とか、

 

教えられて行ってもしょうがねぇだろ。

導かれて行くのが旅じゃねぇか、、、。

 

 

この辺では☆☆ってメシ屋が安くて美味い。場所は、、、 とか、

 

地元民と仲良くなって、

連れて行ってもらうのが醍醐味だろ、、、。

 

 

まったく、人の情報通りに行ってもつまんねぇだろうが。

自分の道は自分で切り開く。

それが旅っつ~もんよ。

 

 

ホント情報ノートとか、、、

 

 

 

あれ?  

なんか暇だなぁ~、、、

すっげぇ暇。  

ちょっと暇つぶしに、、、

 

 

メモっとこ。

 

 

 

ビールがぬるくなるのも忘れて、

役に立ちそうな情報は全てメモった。

 

違うよ、ただの暇つぶしよ。

自分の為じゃねぇし!!

 

 

ほら、あの、、、

困ってる人とかに教えてあげるためだよ。

 

 

 

ノートを読み進めていくと、

一番新しいページになった。

 

日付はなんと昨日。

 

内容は、

「ミャンマーに陸路で行く裏技」だった。

 

 

このノートによると、

軍事政権のミャンマーは旅行できる地域が限られていて、

そこをある程度自由に旅行するには、

基本的には空路でしか入国できないらしいんよ。

 

 

しかし、、、

ここには裏技が書いてある

 

 

 

 

はい、次の行先決定~!!

 

俺、裏技で

ミャンマー行きま~す!!

 

 

 

情報ノートって本当素晴らしいよね。

 

旅行者同士情報を共有して、

お互い良い旅行をしようぜっていう精神。

 

やっぱそういう助け合いの精神を大切にしつつ、

己の道も発見していく。

 

それが真の旅人ってやつですよね~。

 

俺みたいにね!!

 

 

なになに、、、まずは、、、

ミャンマー領事館でビザを申請か。

 

 

よし、明日行ってこよ~!!

 

 

 

翌日、

ミャンマー領事館に到着し、

ビザを申請しようとした俺は、、、

 

パスポートを宿に忘れた事に気が付いた。

 

 

初心者じゃねぇし!!

 

 

 

おっちょこちょいなだけだし!!

 

 

つづく。

 

 

 

64th Try

 

ミャンマー行きを決心した俺は、

中国雲南省都「昆明(クンミン)」のミャンマー領事館に、

パスポートを持って行くのを忘れる

というありえないミスを犯しながらも、

通常より1回多く領事館に行く事によって、

なんとか無事にビザをゲットした。

 

 

領事館までの往復、

 

徒歩1時間かかるんですけどね。

 

 

 

 

なんかね、ミャンマーってさ、

今まで行った国とはちょっと事情が違ってるんよ。

 

よくわかんねぇんだけど、

国の周りを軍事政権が囲ってるだのど~のこ~のっつって、

旅行できる地域が限られてるんだって。

 

だから、どこから行くにしても、

基本的には飛行機で入国するっつ~のが一般的らしいんよ。

 

今まで会った旅人さんの中にもさ、

ミャンマー行った人っていっぱいいたんだけど、

みんな飛行機で行ったって言ってたんだよね。

 

旅人さんって、結構陸路にこだわる人が多いんだけど、

「そこはしょうがないから飛行機使った」って言ってたんよ。

 

 

だけどさ、、、

 

「裏技」っつ~ものを知っちまいましてね!!

 

 

その裏技を使うと、

飛行機を使わずに陸路でも行けちゃうみたいなんよ。

 

その裏技っつ~のが、

ミャンマー政府公認の旅行会社に頼んで、

 

ミャンマーのラショーって町まで

送ってもらうっつ~事らしいんだけど、、、

 

 

 

裏技なんて聞いちゃうとねぇ、、、

 

興味がシンシンしてくるでしょ!?

 

 

 

ミャンマーって国のことなんて、

俺何にも知らねぇんだけどさ、

 

今まで会った中で、

「ミャンマー最高だったよ」って言う旅人さんが超いっぱいいたのね。

 

 

みんなすんげぇいろんな所に行ってる人だったから、

もともとミャンマーに興味はあったんよ。

 

アジアで3本の指に入る美味しさの生ビールもあるらしいし(笑)

 

 

それに加えてねぇ~、

陸路にこだわったみんなが渋々飛行機を使って行ったのに、

俺は陸路で行く方法を知ってしまったじゃんかぁ~。

 

 

ぷ、、、ぷぷぷ、、、

 

 

うわぁ~!!

早く言いてぇ~!!

 

 

「え?知らないの?陸路で行けるよ。」

 

 

 

そんなこんなで、、、

どんなこんなかわからねぇけど、そんなこんなで、

 

 

数日前、

ビザ申請の時に領事館の中にある旅行会社に行き、

早速裏技ツアーを申し込んだ。

 

ミャンマーに入国する日付を決め、

用意していたお金を払う。

 

すると、電話番号を渡され、

瑞麗(ルイリー)という中国-ミャンマー国境の町に行って、

現地で直接ガイドさんと待ち合わせするように指示された。

 

 

わぁお~、

自分で電話して待ち合わせしちゃう感じっすか~!!

 

 

いいねぇ~、

なんか裏技感たっぷりじゃないっすか~!!

 

 

成都以来の都会「昆明」で快適な時間を過ごし、

ミャンマー行きを3日後に控えてビザをゲットした俺は、

早速「瑞麗」に向かう事にした。

 

 

宿で部屋が一緒だった

少数民族フェチの弁髪日本人兄ちゃんとビールを飲んでいたせいで、

バスの出発時間に遅れそうになったけど、

ラッキーな事に最後の一枚のチケットを取ることができた。

 

 

ふぅ、順調、順調。

 

 

いつもなら、一番安い椅子のバスで行くんだけどさ、

見っかんなかったから、

今回はちょっと贅沢な寝台のバスで行く事にしてたんよね。

 

 

まぁ、たまには

贅沢楽チン移動もアリでしょ!!

 

 

ビールを飲んで良い感じだし、

快適な移動になりそうだ。

 

 

 

 

時間ギリギリでバスに乗り込むと、

3列シートで2段の寝台バスになっていた。

 

俺の席は、最後の1枚だったチケットを買っただけあって、

一番後ろの上の端だった。

 

その席だけ通路を挟んでなくてさ、

横3席フラットになってんのよ。

 

でさでさ、隣がね、、、

 

あら、これまた

カワイイおネェさんじゃないの❤

 

 

 

寝返りしたら、、、

 

ムフ、ムフフ、、、

 

 

今日は素敵な夜になりそうだ。

 

 

 

バスの扉が閉まり、

出発すると思ったその時、再びバスの扉が開いた。

 

そして、一人の中国人兄ちゃんが乗ってきた。

 

見た感じ満席だけど、、、まだ空いてたのか。

 

 

その兄ちゃんが

乗務員のバスガイド的なおばちゃんに話しかけると、

 

おばちゃんが後ろに来て、

俺の横のかわい子ちゃんに話しかけた。

 

すると、俺と逆端の席にいたおっちゃんと、席を替わった。

 

 

ん?なんで???

 

 

 

何が起きたのかわからないでいると、

後から乗ってきた兄ちゃんが俺の席に近付いて来る。

 

一番後ろに辿り着き、梯子に足を掛けた。

当然のように俺とおっちゃんの幅約30センチの間に座り、

 

乗務員に向かって、「謝謝!!(ありがとう)」

 

 

待て待て

待てぇ~!!

 

 

え?君ここで寝る気ですか?

 

そこ補助席じゃ無いんすけど、、、。

 

っつ~か近っ!?

 

 

近いっつ~か、

既にお肌がピッタンコしてますからね。

 

って、おい、こら、

乗務員、お前、、、

 

「不要!!(どういたしまして)」

 

じゃねぇ~だろ~が!!

 

 

え?ちょっと、、、

 

え?マジ!?

 

 

15時間以上乗るのよ、これ。

 

 

 

 

Brooooon!! 

 

 

バス発車、、、。

 

 

いや、ちょっ、、、

 

 

無理だから!!

 

 

蒸し暑い車内で、

隣の奴からにじみ出てくる汗、

超至近距離で聞こえるイビキ、

後頭部に感じる強烈な鼻息、、、

 

 

不快だ、とっても不愉快だ、、、。

 

 

なんでこ~なるの?

 

こいつ、マジ、、、

 

最後の1枚の後にチケット買うのやめてもらえます?

 

っつ~か、最後の1枚の後に売るのやめてもらえます?

 

 

 

「まぁ、たまには贅沢楽チン移動もアリでしょ!!」

 

 

 

どこがじゃぁぁぁあああ!!!

 

 

「寝返りしたら、、、ムフ、ムフフ、、、」

 

 

寝返り? 寝返り、、、

 

 

できるかぁぁぁあああ!!

 

 

 

「今日は素敵な夜に、、、」

 

 

 

最っ低ぇえじゃぁぁあああ!!! 

 

 

 

 

途中何回かの休憩はあったものの、

あまりの不快さに、一睡もできない16時間の拷問の後、

「瑞麗」に着いた俺を、外の風が優しく包んでくれた。

 

 

値段の問題じゃありません。

 

もう、絶対

寝台バスなんて乗らねぇ!!

 

 

 

つづく

 

 

 

 

 

 

この記事をかいた人

クロスロードのなんでもおじさん。クロスロード愛が強すぎてボランティアスタッフとして居座っている。 書道家という一面も持ち、世界の路上で2万人を超える人たちに日本語でお名前を書き、プレゼントしてきた。好きな言葉は迷ったらGO。