伝説の旅日記「おもしろそうだからやってみよ。」105th Try 〜 108th Try - フィリピン留学・セブ留学|英語学校 - CROSSxROAD
2019.08.28

伝説の旅日記「おもしろそうだからやってみよ。」105th Try 〜 108th Try

【伝説の旅日記を公開】

若かりし頃にアジア1人旅をしたダイスケは、旅の後、『そうだ、旅の経験を文章にして、たくさんの人に読んでもらおう』と思い立つ。時代を読むセンスがあればブログを書いていたと思うのだが、スーパーアナログ人間ダイスケは、『そうだ、電車の中で読んでもらおう♫』と、書いた旅日記を印刷し、駅で配るという行動に出る。『アジア1人旅、旅日記を書いています。よろしければ読んでみてください!!』と駅前で声を張り上げ、4年という期間(旅は1年ちょっとなのに)をかけ、意地で書ききった当時の自分を、僕は今、、、あまり思い出したくない(笑)

【 過去記事はこちら 】

1st Try 〜 4th Try 

5th Try 〜 8th Try

9th Try 〜 12th Try 

13rd Try 〜 16th Try

17th Try 〜 20th Try 

21st Try 〜 24th Try

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・89th Try 〜 92nd Try

・93rd Try 〜 96th Try

・97th Try 〜 100th Try

・101st Try 〜 104th Try

 

 

 

105th Try

 

頸動脈かなんかを切ったのかなぁ?

 

出血は、見た目には全くっつってもいいくらい無いんよ。

 

でも、抑え込んでほんの数秒、、、

 

ヤギさんが静かになっちゃった。

 

そんでまた、そっからの手際が良いのなんの。

 

正直、目を逸らしたくなる光景の連続だったけど、まぁ感心した。

 

 

ほとんどおっちゃん1人で、、、何分掛ったかな?

 

なんせ超~あっという間だったんよね。

 

 

あ、これ前の続きね。

 

唐突バンザイ!!

 

 

で、その後、

内臓全部をでっけぇ鍋で煮込んで、食ったんよ。

 

うん、また頂いちった。

 

ただ、生きてる時から食う状態になるまで、

全部知っちゃってからね~、、、

 

ちょっと気がのらね、、、

 

 

腹減ってたから、美味かった(笑)

 

 

ホルモンとか、内臓系ってもともと好きだからさ、

大概は美味かったんだけど、、、

 

ほんっとに余すとこ無しって感じなのね。

 

だって血まで食うんよ。

 

血ってさ、あれ、腸の中に入れて煮込むと固まんのね。

 

赤黒い豆腐みてぇな、、、

 

あれはさすがに手強かったわ(汗)

 

残すわけにもいかねぇしねぇ、、、

 

 

 

腹もいっぱいになって、

おっちゃんの娘さん達と喋ったり、

パチカで遊んだりしながら待つ事数時間、、、 

 

迎えに来たJEEPに、おっちゃんと一緒に乗り込んだ。

 

あれ?

おっちゃん、ドライバーじゃねぇのか?

 

まぁ、それはいいとして、、、

 

5人乗りのJEEPなんだけどさ、俺、、、

 

 

13人目の客。ぷぷぷ(笑)

 

俺、おっちゃんの膝の上だよ。

 

 

誰かの膝の上なんて、、、何年ぶりだろ。

 

 

あの地獄の「ウランバートル-ホブド」間で

乗ったバンよりも、更にぎゅうっぎゅう。

 

大袈裟じゃ無くて、

マジで窓ガラスにほっぺ押しつけられる勢いよ(笑)

 

 

 

まぁ、そんなに長げぇ時間

じゃなかったから、まだよかったけど、、、。

 

 

 

出発から数時間後、

湖のほとりに1件だけあるゲルの前でさ、

おっちゃんと俺だけ降りたんよ。

 

 

湖と草原、ゲル、家畜。

 

それ以外はマジでなんも無い、、、。

 

 

え、あの、、、

僕「オラーンゴム」に行きたいんすけど、、、

ここって、、、

 

 

 

「オラーンゴム」って、

西モンゴルで3本の指に入る大きさの街なんよ。

 

だから、ここじゃないのは間違いねぇじゃん。

 

っつ~かそんな数時間で着く距離じゃねぇし。

 

こういう状況ってさ、、、

 

超ビビるよね。

 

 

よく聞いてみたら、

どうやらここはおっちゃんの家らしくてさ、

 

明日の早朝、

おっちゃんの車で出発すんだって。

 

さっきまでの家はなんだったんだ?親戚?

 

 

まぁでも、最初は超不安だったけど、

おっちゃんもおっちゃんの家族もみんな優しくしてくれてさ、

実際は全っ然大丈夫だった。

 

むしろすげぇ良い時間で、ありがたい事に、

またまた晩飯食わして貰って、ベッドで寝かしてもらって、、、

 

 

zzz、、、

 

 

 

おっちゃんの声で目を覚ますと、超真っ暗だった。

 

時計を見たらまだ4時前。

ぼちぼち出発するらしい。

 

懐中電灯を片手にゲルの外に出ると、、、

 

 

うわっ、なんじゃ、こりゃ、、、

 

 

 

 

☆ 星 ☆ 星 ☆ 星 ☆

 

 

 

 

もうやっべぇ。

 

空を見上げなくても、

目線の高さが360度ぜ~んぶ星。

 

見上げてみたら天の川がすんげぇことになってる。

 

一気に目が覚めたね。

 

 

で、またさ~、

何がすげぇって、流れ星の数ね。

 

珍しくも何ともねぇんだもん。

 

試しにっつ~わけじゃねぇけど、

なんとなくタバコ吸いながら数えてみたんよ。

 

そしたら、タバコ1本吸う間、3分くらいの間かなぁ?

 

 

9個!!

 

 

超やばいっしょ!?

 

星さんがさ、マジでもうあっちこっちで流れまくってんの。

 

 

願い事3回言う前に、

流れ星3個流れちゃうんじゃないの?笑

 

 

あれは、マジで凄かったわ~。

 

 

 

 

 

昼って感じじゃ無ぇけど、

夕方まではいかないくらいの頃、

 

おっちゃんのおかげで

俺は無事に「オラーンゴム」に着いてた。

 

 

おっちゃんと別れると、

適当に街を歩いて、何件かホテルもまわったんだけど、

 

結局、

街の端っこの草原にあるゲルの傍に

テントを張らしてもらう事にした。

 

 

うん、完全に「ザブハン」ノリ(笑)

 

 

で、ゲルを訪ねたらね、

優しそうなおじいちゃんが住んでてさ、

横にテント張っていいっつ~から、

そうさせてもらう事にしたんよ。

 

 

薪木も十分集めたし、、、

さぁ、初一人キャンプの開始だぁ~!!

 

 

それにしても、

「ホブド」を出発してから約1週間。

 

「ザブハン」の手前の「ミャンガド」の店で食べた

1回以外は全部誰かの家でご馳走になってたんだなぁ~。

 

「ホブド」で買った食料が、何にも減ってねぇもん。

 

むしろ、「ザブハン」のゲルで

お土産にアーロール(チーズ)とか頂いちゃってっからね、、、

 

 

増えた(笑)

 

 

本当だったら、

今頃は一人キャンプに慣れててもいい頃なんだよね。

 

だけど、宿なんか無ぇ場所を1週間もまわってたのに、

ちゃんとしたキャンプはここが初。

 

まぁここなら、いざとなればお店もあるし、ホテルだってある。

初心者の俺がキャンプをするには絶好だね。

 

保険ありだから、焦る事も無ぇし、気楽に楽しめそう。

 

それもこれも、

 

遊牧民のみなさんのおかげっす!!

 

 

 

初キャンプは意外に超~順調!!

 

テント、、、

 

完璧!!

 

焚き火、、、

 

大成功!!

 

 

とりあえず食えりゃいいやって思って、

米にさ、乾燥肉とか野菜を適当に入れて炊いてみたら、

水加減がたまたま当たって、まぁ美味い。

 

これまた大成功。

 

 

 

日本で食っても美味いかどうかは別ね、、、

 

米も洗って無ぇし(笑)

 

その辺は雰囲気バンザイってことで、、、。

 

 

 

1週間いろんなとこでメシ食わして貰ったけど、

遊牧民さんって米洗わねぇのね。

 

袋から直で鍋。 

 

無洗米じゃないよ(笑)

 

 

だから、キャンプはまだ不慣れな俺だけど、

米洗わねぇのは慣れた。

 

 

まぁ、後々、

「行ったら腹痛と親友になるっつ~噂のインド」

とかにも行きてぇから、胃袋のトレーニングだね。

 

 

食い終わって、洗い物を終わらすと、

お湯を沸かして紅茶を淹れた。

 

そんで、焚き火と紅茶で温まりながら、タバコを片手に、、、

 

不思議だな~。

なんで俺こんなとこいんだろ?

半年前までモンゴルの事なんて考えた事も無かったのに、、、 

 

とか、いろいろ考えながら1人で浸ってた。

 

なかなかお洒落っしょ?

 

 

なんか寂しかったから、

火消してすぐテントに入ったけどね(笑)

 

 

日記を書くと、

寝袋に入って懐中電灯を消した。

 

 

暗いのに慣れてきた目でテントの天井を見ながら、

最高だったここ数日間の事を思い出していると、

 

それだけで楽しくて、嬉しくて、

なんかすげぇいい気持になって、いつの間にか寝てた、、、。

 

 

この先しばらく眠れない日が続く事も知らずに。

 

 

長~い長~い

恐怖の4日間がやってくる、、、

 

 

 

 

つづく

 

 

 

 

 

106th Try

 

 

ホーミーをしてみたり、

ミサンガを作ったり、

散歩に出かけてみたり、、、

 

何にも縛られず、ゆっくり流れる時間の中で、

自分なりに暇な時間を楽しんでた。

 

 

夕方、、、

つっても、横長なモンゴルの西部にある「オラーンゴム」は、

まだ真っ昼間みてぇに明るい。

 

テントの周りで、夜の焚き火の為に薪木を拾い集めてると、

向こうの方で雨が降ってんのが見えた。

 

なんかすげ~不思議な感じ。

 

辺り一帯は晴れてんのに、

向こうの一部だけ雨が降ってるのが見える。

 

こっちに来なきゃいいけど、、、

雨降ったら焚き火できねぇかんなぁ、、、。

 

向こうで降ってた雨はいつの間にか止んでた。

 

 

 

薪木を集め終わって、

焚き火の準備が出来た頃、ゲルのじいちゃんの友達が遊びに来た。

 

酔っ払いのおっちゃん3人組。

 

みんなこの辺に住んでる仲良し同士で、

飲み仲間って感じらしいんだけど、、、

 

やっぱ酔っ払いとは

関わり合いたく無いじゃん?

 

なのに、、、

 

どう間違ったのかなぁ?

 

 

仲良くなっちゃってさ(笑)

 

 

 

一緒にウォッカを飲んだり、

写真を撮ったり、ふざけたり、、、。

 

じいちゃんは、

酔っぱらってすぐゲルに戻っちゃったけど、

 

残った4人で、

ウォッカを回し飲みしながら、楽しい時間を過ごしたんよ。

 

やっぱ、みんなで飲むお酒は楽しいよね。

 

 

 

しばらくして、20時半を過ぎると、

さすがの「オラーンゴム」も暗くなって、

3人のうち、2人のおっちゃんは家に帰って行ったんよ。

 

で、もう一人のおっちゃんがさ、

自分の事を家に招待してくれたんよね。

 

ただ、結構酔ってたし、ぶっちゃけもう寝たかったけど、、、

 

強引に連れてかれた(笑)

 

なんせ力が強ぇから、、、

 

 

 

強引おっちゃんのおかげで、

かったるかったけど、また良い経験をさせてもらったわ。

 

 

ふぅ、疲れたけど、

毎日いろんな経験が出来て嬉しいなぁ~、、、

 

そう思いながらテントに戻って、寝た。

 

 

zzz,,,

 

zzz,,,

 

 

 

 

Jeeeeeee!!

 

 

わぁっ!? 

びっくりしたぁ、、、 何?

 

 

 

突然テントの入口のチャックが開いてさ、

びっくりして起きて、慌てて寝袋から出ようとしたら、

そこに強引おっちゃんが立ってたんよ。

 

時間は深夜2時とか3時とか。

 

どうやら、まだ飲み続けてたみたいで、

目が座って更に酔った雰囲気。

 

で、

「酒買うから金くれ」的な事を言ってくんの。

 

めんどくせぇ冗談だなぁって思いながら、

身体が半分寝袋に入ったまま、

 

「マルガーシ!!(明日ね~)」

 

つって、チャックを閉めようとしたら、、、

 

 

Jeeeeee!!

 

ガツッ!!

えっ、うわっ!?

バンッ!!痛っ!? 

グワシッ、ブチッ!! 

 

あぁっ、ちょっ!?

返し、、、

 

 

豹変した強引おっちゃんが中に押し入ってきて、

身動きが取れないままマウントをとられちゃったんよ。

 

いきなりの事で、訳分かんなくて、

とにかく必死で反抗してたら、

 

首から下げてシャツの中に入れて持ってた、

パスポートと、全財産の9割5分が入ったポーチを、

紐をちぎられて、奪われちまったんよ、、、

 

 

そしたら、おっちゃんは、俺の上からどいて、さっさと行っちまった。

 

 

 

これはやばすぎる。

こんなとこでスッカラカンになったら、マジ死しか待ってねぇ。

 

 

 

あの野郎、、、

 

急いで寝袋を脱ぐと、靴も履かずに追いかけた。

 

ちょっと待てこるぁ~!?

 

 

 

超酔っぱらってる筈なのに、

一切足のふらつかない強引おっちゃんに、

なんとかダッシュで追いつくと、

後ろからおっちゃんの右足に向かってタックル、、、

 

するような感じで、

 

 

足にしがみついて、

全ベソかきながら懇願だよね。

 

 

 

 

「ぷりぃぃず!!

 それパスポートなんだってばぁ!!

 マジお願い。

 ねぇ、ほら、お金あげるから。

 そっちはマジ勘弁!! 

 ほんと、ねぇっ(泣)」

 

 

 

 

もう一つ持ってた財布から、

お金を出して目の前に突き出すと、

おっちゃんは乱暴に受け取って、

 

「もう1枚!!」

 

 

震える手で、財布からもう1枚出して渡すと、

ポーチを投げつけるように返してくれた。

 

そんで、そのまますたすたと真っ暗な中に歩いて行ったんよ、、、

 

 

 

はぁ、、、

 

 

 

おっちゃんが見えなくなると、

身体から力が抜けて、その場に座りこんじった。

 

なんか頭ん中が真っ白で、

心臓がバッキュンバッキュン言ってる。

 

 

しばらく恐怖と混乱で

何にも考えられなかったような気がすっけど、

 

だんだんと落ち着いて来ると、

テントまで戻ってポッケからタバコを出した。

 

 

グチャグチャになった箱の中から

折れてないやつを選んで咥えると、

まだ震えが止まらない手で火を点けた。

 

 

あぁ、、、寒みぃ。

 

なんか意味わかんねぇけど、マジ、、、

 

良かったぁ、、、。

 

靴下はき替えよう。

 

 

 

 

ほとんど寝れずに朝を迎えると、

テントを畳んで、出発の準備をした。

 

物音で気付いたのか、

外に出てきたゲルのじいちゃんに挨拶をすると、

 

市場に行って、最後の目的地、

モンゴル西の果て「ウルギー」行きの車を探した。

 

でもね、、、

今日は出発しないんだって。

 

「ウルギー」に行く人が集まれば、

明日は出発するかもしれないけど、

それも明日になんないとわかんないんだってさ、、、

 

 

えぇ、もう1泊すんの、、、

でも、他に選択肢無ぇもんなぁ、、、

 

 

 

しょうがなく、じいちゃんのゲルのところに戻ると、

またテントを張らせて貰った。

 

 

 

、、、うん、俺もそう思う。

なんでホテルに泊まらなかったんだろう?

 

 

なんかもう、意味がわかんなくて、

うまく物事を考えられなかったんだと思う(笑)

 

 

 

テントを張ると、昨日の3人組が前を通った。

もちろん強引おっちゃんもいる。

 

俺は完全にビビっちゃってたんだけど、

向こうから陽気に挨拶をしてきたんよ。

 

「サエンバエノ~」 

 

「えっ?う、うん、、、サエンバエノー、、、」

 

 

 

夜中の事覚えて無ぇのかな、、、

 

まぁでも、なんにせよ、ちょっとホッとした。

 

 

きっと飲みすぎちゃっただけで、

本当は良い人なんだよな。

 

盗られたっつっても、

結果200円くらいで済んだし。

 

 

仲良くしてもらったし、もしまた来たら、

サクッと200円あげよ。

 

あぁ、良かったぁ。

今夜はゆっくり寝れそうだ、、、。

 

 

 

 

 

 

その夜、

またチャックが開いた、、、。

 

 

 

 

Jeeeeee!!

 

 

 

 

つづく

 

 

 

 

 

107th Try

 

テントってさ、やっぱ怖いよね。

 

襲われるもんね。

 

「マジもうテントは懲り懲りだ、、、」

 

とか思っていながら、何故かもう1泊テントで過ごすことにしたんよ。

 

まぁ、パニックによるちょっとした意味不明行動だよね(笑)

 

 

 

昨日俺を襲って下さった強引おっちゃんも、

朝会ったら普通に良い人だったから、

酔っぱらうとタチが悪りぃっつ~だけなんだろうな。

 

 

まぁ、万が一、また来たら、、、

 

お金で解決しよう。

 

 

それが大人ってもんですよね(笑)

 

 

実際は今晩が不安でしょうがねぇんだけど、、、

適当に時間を過ごそうとしても、なかなか時間が経たねぇ。

 

1個不安になると、

いろんな事が不安になっちゃってさ、何もできねぇの。

 

散歩に行っても、荷物が不安ですぐ帰ってきたり。

 

人恋しい半面、かなり人間不信気味にもなってっからさ、

人と関わりたくなくて、変に目立つホーミーの練習もしなかったんよ。

 

 

早く明日になんねぇかなぁ、、、

 

そう思うばっかで、時間はなかなか経ってくれねぇんよね。

 

 

夕方、

もう十分なんだけど、

手持無沙汰を紛らす為に、焚き火に使う薪を集めてたのね。

 

そしたら、人の良さそうなおばちゃんが通りかかってさ、

話しかけて来てくれたの。

 

女性っつ~事もあって、

久し振りに人と話せてちょっとホッとしたんよ。

 

しかし、女性っつっても超ガタイいいのね。

 

牛みたい(笑) 失礼、、、。

 

 

ノリがいいおばちゃんでさ、話してて楽しくて、

あれほど過ぎなかった時間が、あっという間に過ぎた感じがしたんよ。

 

片言だから、

お互い伝わってんのかわかんねぇけど、結構盛り上がったんだ。

 

最後には、

「私達『ナエ~ズ(友達)』ね。」

みてぇな事も言ってくれて、すげぇ嬉しかった。

 

 

嫌な気持ちのまま出発する事になんなくて良かった、、、

 

おばちゃんのおかげで、

なんだか急にテンションが戻ってさ、

 

焚き火してメシ食って、昨日買ってあったビールを飲みながら、

気持ち良く夜の時間を過ごせたんよ。

 

で、気持ちもホッとして、アルコールも少し入って、

急に眠くなってきたからさ、早めに寝たんだ。

 

そういやぁ、昨日あんまり寝てねぇもんな、、、

明日はまた車中泊だろうからなぁ、、、

今日くらいはゆっくり、、、

 

zzz、、、

 

zzz、、、

 

zzz、、、

 

 

 

Jeeeeee!!

 

 

 

えっ!?

 

「ナエ~ズ~❤」

 

 

Jeeeeee!!

 

うわぁっ!?

ブチッ!! ちょっ!?

わっ、危っ、、、くっ、、、

やめっ、、、どっ、、、

っけぇぇえ!!

 

 

 

はぁはぁはぁ、、、

 

 

 

マジで止まった心臓でも動きだすんじゃねぇか?

っつ~くらいびっくりして目を開けると、

 

テントの外側のチャックが開いてて、

メッシュの先には片手に缶ビールを持ったおばちゃん。

 

すぐにメッシュのチャックも開けて、俺にのしかかってきた。

 

超~ギリッギリで唇を避けて、

超重いおばちゃんの下から無理やり這い出た。

 

 

「牛」が夜這いに来たんよ。

 

 

 

 

もう、マジ嫌だ、、、。

 

しかも、超酔っぱらってる牛が、

テントで籠城を始めたんよ。

 

でっけぇ牛が、

俺のテントの中で体育座りして小っちゃくなってる。

 

一向に出てくる気配が無い牛に、

俺は思いつく限りの日本語で怒鳴りまくった。

 

「出てけ!!帰れよ!!」

 

くそっ、引き出しが少なすぎて、牛にダメージを与えらんねぇ、、、。

 

 

それどころか、俺が言葉に詰まると、テントの中から

「ナエ~ズゥ~❤」

って気持ち悪りぃ声で呼んできたり、

 

目が合うと唇を尖らせて、

「chu chu chu ❤」

ってやってきやがる。 

 

 

 

 

だめだ、こりゃ、、、。

 

 

 

飛び起きて数分、

襲われた瞬間は、そりゃもう超~パニックだったんだけど、

昨日と違って、別に何かが盗られた訳じゃねぇし、

 

命がピンチな訳でもねぇからか、わりとすぐに冷静になれたんよ。

 

でも、どうしていいかわかんねぇから、

とりあえずポッケからタバコを取り出した。

 

 

またグッチャグチャ。

 

 

かろうじて折れてねぇやつを咥えると火を点けた。

 

 

ふぅ~、、、これ、、、 どうすっかなぁ、、、

 

 

 

タバコ吸ってたらさ、

牛がタバコを欲しがったんよ。

 

これはチャンスと思ってさ、

「やるからとりあえず出てこい」的な交渉に入った訳。

 

 

でもやっぱ全然出てこなくてさ、

相変わらずチュッチュ言ってきやがんの。

 

「もうマジ頼むよ~」

 

ってなった頃、俺の声に気付いて、

ゲルのおっちゃんが出て来てくれて、

 

無理やり牛を引きずり出してくれてさ、

説教して牛を帰してくれたんだ。

 

 

やっと、、、

 

 

ありがてぇ。

 

 

 

テントに戻ると、

無理やり起き上った時にふっ飛んで行ったチャックが落ちてた。

 

幸い、取れたチャックは簡単に付いて、

なんとか今後も寝袋として使えそうだ。

 

時計を見ると、丁度深夜1時になるところ。

 

恐怖と不安で寝れずに過ごす夜は、

昼とは比べ物にならないくらい長い時間に感じる。

 

あぁ、、、 マジで気が狂いそう、、、

 

 

超長く感じる時間がやっと過ぎて、

明るくなると、すぐにテントを畳んだ。

 

 

とにかく、一刻も早くここを出てぇ。

 

ここさえ出れれば、

もうこの際行き先は「ウルギー」じゃなくてもいい。

 

 

そう思って、ゲルのおっちゃんにだけ挨拶をすると、

荷物を持って、逃げるようにして乗り合いバンの集まる市場に行った。

 

聞くと、今日も「ウルギー」行きは出ないらしい。

でも、「ホブド」行きなら丁度これから出るっつ~事。

 

戻る感じになるけど、

「ホブド」からも「ウルギー」行きが出てた気がするし、

あそこなら10日前くらいに滞在したから、宿の当てもある。

 

うん、一回「ホブド」に戻って落ち着こう。

 

とにかく「オラーンゴム」はもう嫌だ。

 

 

 

 

移動のバンの中はほとんど記憶が無ぇ。

 

やっぱり定員オーバーのギュウギュウ詰めだったけど、

超寝不足のおかげで、ぐっすりだったんよ。

 

結構な長旅だったはずなんだけど、

長さをほとんど感じることなく着いたんだ。

 

 

ただ、着いた時間が悪くてさ、深夜なの。

しかも、部屋が空いてなかったんよ。

 

でも、何時間かすりゃぁ朝だし、

この時間に歩きまわって宿探すのもなぁって思ってさ、

宿の隣にあった教会の裏で野宿する事にしたんよ。

 

 

 

 

 

そしたら今度は、、、

 

 

 

 

つづく

 

 

 

 

 

108th Try

 

「ホブド」の街の端にある教会の裏。

 

うん、ここならまず誰も来ねぇだろ、、、。

 

すぐ横には、朝になったらチェックインする予定の宿。

 

満室で入れなかったけど、雨が降る気配も無ぇし、

あと3~4時間もすりゃぁGood morning が来る。

 

よし、とりあえずここで仮眠だ。

あぁ~、寒みぃ、、、寝袋、寝袋っと、、、。

 

 

 

 

数時間後、、、

 

 

まだ辺りは真っ暗。

 

「lkzxjvvん;dふぁvん;ds?」 

「lzxcsdb。bjds;❤❤❤」

 

 

男女の楽しげな話し声が聞こえてなんとなく気がついた。

 

声がだんだん近づいて来る。

 

 

数秒後、

案の定俺が寝てる教会の裏まで来た。

 

どうしていいかわかんねぇけど、とりあえず、、、

 

「あ、え~っと、サエンバエノ~(こんにちは)、、、。」

 

 

 

彼氏がさ、ちょっと笑っちゃうくらいびっくりしてさ、

なんつってるかわかんなかったけど、超~怒ってた。

 

まぁ、そりゃそうだよね。

 

こんな時間にカップルでこんなとこに来んのは、

これからせっかく、、、

 

ねぇ、、、

 

うふん❤的な、、、

 

 

ねぇ、、、

 

あぁ、なんか悪い事したかな、、、(笑)

 

 

 

俺も相当ビビったけど、

たぶんあっちほどじゃないよね。

 

なんかね、あとから聞いた話なんだけど、

夜ホテルが満室になるのは、ラブホ化するからなんだって。

 

モンゴル人さんもお盛んなんだね。

 

いやぁ~、それにしても、

毎晩いろんな事が起きるなぁ。

 

やっぱ安心して寝るには宿が一番だね。

 

もうテントとか野宿とか、しばらくはいいや。

 

 

 

明るくなると、

寝袋を畳んで、宿の前にある広場のベンチに移動した。

 

さすがにまだ早過ぎだよな、、、

 

タバコを吸いながら時間を潰してると、

向こうから1人の若者が歩いてきたんよ。

 

 

遠くから、でっけぇ声で独り言を言ってんのが聞こえてたからさ、

酔っぱらいだって事はすぐわかったんよ。 

 

喋る事になったらめんどくせぇな。

 

そう思って、見て見ぬふりをしてたんだけど、

若者は俺を見つけると真っすぐこっちに向かってきた。

 

 

 

近くまで来て、若者が聞いて来たの。

 

「ヒャタッド?(中国人か?)」

 

「ウグイ、ビー ヤポノース イルスン!!(いや、日本人だよ)」

 

 

モンゴル人さんって

中国人さんが嫌いな人が多いみたいなんよ。

 

首都のウランバートルでは、

中国人って思われて、

すれ違いざまに殴られた事もあるし、、、。

 

だから、日本人だって言わなきゃって思って、

すぐ返事をしちまったんだけどさ、

 

下手にモンゴル語で返しちまったのが悪かったのか、

なんか変に気に入られちゃってさ、

 

若者が俺の隣に座ってきちゃったんよ。 

 

 

あぁ、めんどくせぇ、、、

 

 

彼は、少しの英単語と中国語がわかるらしく、

モンゴル語と中国語と英単語で話をした。

 

っつ~か、別に何にも聞いてねぇけど、

彼が楽しそうに喋りだしたんよ。

 

 

俺はモンゴリアンマフィアなんだ。

 

今もファイトしてきたところさ。

 

おい、おまえ、ボクシングやるか?

 

シュッシュッシュッ、、、

 

 

 

 

ははは~、こいつマジでめんど、、、

 

うわっ!?

 

 

 

愛想笑いしながら、

改めて彼の顔を見た瞬間から、急に怖くなってきたんよ。

 

 

額から血が流れた跡、、、

 

 

え、マジ? こいつヤバイ奴かも、、、

 

 

 

しばらくすると、

突然、「ガバメント」 とか言って立ち上がった彼が、

広場にあるモニュメントに向かって小便を掛けだした。

 

 

更にモニュメントに向かって中指を立てて、

「ファッキュ~!!」 

って叫びながら爆笑してる、、、

 

 

うわぁ、、、本当にヤバい奴だ、、、

あぁ、早くいなくなってくんねぇかなぁ、、、

 

 

そう思ってる時っつ~のは、なかなかそうならないんよね。

 

「酒を飲もう!!な、買いに行こう!!」

 

「いや、いいっす。つ~か、こんな時間に店開いてないでしょ?」

 

「大丈夫だよ。じゃぁ、俺が買ってくるからちょっと待ってろ!!」

 

 

そんな感じで、本当に買いに行っちまった。

 

あぁ、今のうちに逃げちまいてぇけど、

そんなでっけぇ街じゃねぇし、、、

あとで見つかったら何されるか、、、

でも貴重品だけでも何とか、、、

 

くそ、こんな事になんなら、

もうしばらく教会の裏で寝てりゃぁ良かった、、、

 

 

いろんな事を考えてたら、

結局何も出来ないうちにヤバい奴が戻ってきちまった。

 

その片手にはバッチリウォッカを持ってる。

 

マジかよ、、、

 

 

 

当たり前のように俺の隣に戻って来ると、

上機嫌にウォッカを飲みだしたヤバい奴。

 

強引に俺にも勧めてくる。

 

しばらくは断ってたんだけど、

てめぇ俺の酒が飲めねぇのか?

的な感じになってきたから、口をつけて飲んでるふりをしてたんよ。

 

でも、あまりにも続くから、

さすがにもういいっつって断ったのね。

 

そしたら、

じゃぁもういいよ!!

みてぇな感じで、俺の方に差し出したビンを引っこめたんよ。

 

 

そん時に、ヤバい奴が手を滑らして、、、

 

パリ~ンッ!! 

 

ビンを落としちゃったんよ。

 

 

もちろんビンは割れて、ウォッカは全部こぼれた。

 

完全に空気が変わった。

 

 

あぁ、俺のウォッカ、、、

 

てめぇ、、、

 

 

ヤバい奴は割れた破片を拾って舐めてる。

 

 

更に、ビンの頭を持って、

割れた方を俺の目の前に突き出してきた。

 

 

もう俺の頭ん中は真っ白。

 

 

 

テレビでは見た事あっけど、

まさか自分がこんな経験をするなんて、、、

 

 

 

「殺られるかウォッカを買う金を出すか、選べ」

 

 

 

命の危険を感じた俺は、腹をくくった。

 

そして、ヤバい奴の一瞬の隙をついて、、、

 

シュッ!!

バリッ!!

 

 

 

ポッケから財布を出して開いた。

 

 

 

あ、おいくらですか?

 

 

 

 

 

究極に簡単な選択だよね。

 

ただ、2000円って言われたんだけど、

2つに分けて持ってた俺の片方の財布には

600円しか入って無かったんよ。

 

かといって、もう一個には全財産入ってっから、

見つかる訳にいかねぇし。

 

だから、財布ごと渡して、

 

今はこれしかないんです!!

 

 

って泣きそうな顔で言ったら、

財布超チェックされたけど、許してくれたんよ。

 

ただ、

「じゃぁ買ってくるから待ってろ」

って、、、

 

 

 

 

まだ続くの!? 

 

 

 

 

 

いや、、、俺は決めた。

 

逃げよう。

もうこの街を出ちゃおう。

 

そう思って、市場に向かってダッシュした。

 

超必死で、

乗り合いの車が集まってる場所に行くと、

ラッキーな事に、

次の目的地だった「ウルギー」に行く車が見つかったんよ。

 

で、ヤバい奴に見つかんねぇように、

ず~っと、何時間も車の中に隠れて1人で出発を待ってた。

 

また超長く感じる時間を過ごして、

無事に「ホブド」を出ると、超~ホッとした。

 

 

 

よかったぁ、、、 

 

マジ超~ 

 

Bad morning 、、、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづいた。

 

 

 

この記事をかいた人

クロスロードのなんでもおじさん。クロスロード愛が強すぎてボランティアスタッフとして居座っている。 書道家という一面も持ち、世界の路上で2万人を超える人たちに日本語でお名前を書き、プレゼントしてきた。好きな言葉は迷ったらGO。