伝説の旅日記「おもしろそうだからやってみよ。」133rd Try 〜 136th Try - フィリピン留学・セブ留学|英語学校 - CROSSxROAD
2019.10.27

伝説の旅日記「おもしろそうだからやってみよ。」133rd Try 〜 136th Try

【伝説の旅日記を公開】

若かりし頃にアジア1人旅をしたダイスケは、旅の後、『そうだ、旅の経験を文章にして、たくさんの人に読んでもらおう』と思い立つ。時代を読むセンスがあればブログを書いていたと思うのだが、スーパーアナログ人間ダイスケは、『そうだ、電車の中で読んでもらおう♫』と、書いた旅日記を印刷し、駅で配るという行動に出る。『アジア1人旅、旅日記を書いています。よろしければ読んでみてください!!』と駅前で声を張り上げ、4年という期間(旅は1年ちょっとなのに)をかけ、意地で書ききった当時の自分を、僕は今、、、あまり思い出したくない(笑)

【 過去記事はこちら 】

1st Try 〜 4th Try 

5th Try 〜 8th Try

9th Try 〜 12th Try 

13rd Try 〜 16th Try

17th Try 〜 20th Try 

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・109th Try 〜 112th Try

・113th Try 〜 116th Try

・117th Try 〜 120th Try

・121st Try 〜 124th Try

・125th Try 〜 128th Try

・129th Try 〜 132nd Try

 

 

133rd Try

朝のお祈りが終わると、

教会の目の前にある停留所から路線バスに乗り、

途中でオートリキシャーに乗り換える。

 

降りたところから道を渡り、

細い路地を入っていくと、「ダヤダン」の入口がある。

 

シャッターを開けて中に入り、階段を上がる。

 

大きな泣き声や笑い声が響く中、

シスターやマーシー(女性職員?)を中心に、

エプロンをしたボランティアの人達が働いている。

 

走り回ってる子もいて、すげぇ賑やかで、

第一印象は、なんか保育園な感じ?

 

でも、奥に入っていくと異様な雰囲気にゾッとした。

 

既にベッドから下りて、

風呂場で身体を洗ってもらったり、

トイレに並んでたりするわりと元気な子供達とは別に、

ベッドに残されたままの子達。

 

見るからに障害が重く、

奇声を上げながら暴れてる子、

無表情で唸り続けてる子、

顔や身体が変形して意識があるのかないのか、

微動だにせず、目だけ開いてるような子、、、

 

思わず目を逸らしてしまう。

 

「重い障害を持った孤児たちの施設」っつ~事で、

覚悟してきたつもりだったけど、、、

 

そんな場所で過ごす時間は、

まだ1日の流れを知らない初日の自分には、

すげぇ永く感じて、

 

手伝いに来たはずが、

却って足を引っ張ってるような気さえして、 超気疲れした。

 

それでも、1回見ればボランティアの仕事内容は難しくなく、

覚えるのに時間は掛からなかった。

 

だから、2日目からは、、、

朝一の無難な仕事はシーツ交換。

 

周りの流れを見ながらゆっくり丁寧にやって、

終わったら床掃除をすればいい。

 

その後は屋上に行って洗濯を手伝えばいい。

 

ボランティアの人がたくさんいても、

洗濯物はたくさんあるから、

上手い事やれば手持無沙汰にはなんねぇ。

 

洗ったシーツや洋服、布おむつを、丁寧にしぼって、

しぼった洗濯物がバケツにいっぱいになったら、

他の人より早くそれに手を伸ばして、 それを持って干しに行けばいい。

 

干すのも丁寧に丁寧に。

ゆっくり干してれば直に食事の時間だ。

 

食事は良い。

なんだか面倒を見ているって気になれる。

あぁ、良い事してるな~なんて。

 

食事は早く食べ終わる子が良い。

そうすれば食器洗いができる。

 

食器洗いのポジションに付いちまえば、

あとは食い終わった順にどんどん運ばれてくる食器を

ただ洗ってればいい。

 

それが終わってもまだ時間が余ってれば、

また屋上に上がって、

乾いた洗濯物を畳んでればそのうち終わりの時間がくる。

 

そうすれば今日の仕事も無事に終了だ。

 

後は帰って昼飯でも、、、

 

 

 

 

あぁぁああ!!

だっせぇ!!

 

 

 

いろんな場面で

そういう考えが頭をよぎる自分が情けねぇ。

 

そんなもん只の暇潰しじゃねぇか。

 

バラナシのマザーハウスで、

俺は何をして、何を考えて、何を学んできたんだ?

 

ここでボランティアをしたっつ~実績だけあっても、

中身が伴って無きゃなんの意味も無ぇじゃねぇか。

 

そんなんなら最初から来ねぇ方がよっぽどいい。

自分の為のボランティアじゃねぇんだから。

 

もっと自分に厳しくなんねぇと、、、

 

手持無沙汰になるのが嫌で

ボランティア同士で仕事を取り合うのは嫌だから、

譲れる事は譲って、 任せられる事は任して、

 

今何をするべきなのかを考えて、

手が足りてない事をやるように心掛けた。

 

その為に、いろんな所に顔を出して、

その時間にどこで何が行われているのかを見た。

 

そうすると、やる事はいくらでもある。

 

それでも本当にやる事が無いのは、

全て上手くいってるっつ~ことだから、良い事。

 

そんな時は、

外に出て堂々とタバコでも吸ってればいいんだから。

 

そう、変な事考えねぇで、

最初からやるべき事をやりゃぁいいんだよ。

 

 

 

 

 

その頃、、、

 

バラナシで仲良くなったRYO君からメールが来た。

内容は、 インド人の友達がたくさんいるRYO君ならではなんだけど、、、

 

「インド人の友達が、

 これお前のじゃね? つって教えてくれたんだけど、  

 大ちゃん、バラナシで新聞に載ってたよ(笑)  

 

 ガートで、さよちゃんと、サドゥみたいな人の間で、

 大ちゃんがタバコを咥えてる写真が載ってて、  

 「大麻を吸いに来た日本人」みたいな感じの内容で、  

 結構めちゃくちゃに書かれてるらしいよ。

 さすが大ちゃん。やるね!! 」   

 

 

えぇ!?                    

 

新聞って、、、

 

しかしなんでまた?

 

あの時は確か、、、

バラナシを出る前の日だったかな?

 

さよちゃんとアッシーガートまで散歩して、

ガートに座ってホーミーしながら遊んでたら、

 

マーチさん繋がりで知り合った、

いつも会うと片手を胸に当てて挨拶し合う、

半分以上サドゥな感じのカナダ人さんが通りかかって、

ホーミーの音に興味を持ったらしく、

 

「それはどこの国の音楽だい?  

 口琴(口の中で共鳴させる楽器)の音と似てるね」

 

つって声掛けてきて、

彼がめっちゃいっぱい口琴持ってたから 3人で口琴で遊んだり、

ホーミーとセッションしたりしてたんだ、、、

 

って、改めて思い出してみるとなんかすげぇな、、、

 

自分の行動が怖い(笑)

 

 

 

1年前の俺が見てたら完全に引いてるだろうな。

 

ガート沿いでホーミーとか、

胸に手を当てて挨拶とか、

半分以上サドゥな感じの人と遊んだりとか、、、

 

旅をして、 いろんな経験を重ねて、

大人の階段、、、

 

いや、、、

 

危ない階段の~ぼる~♪♪ って感じ(笑)

 

 

にしても新聞って、、、

まぁ、結局のところ、、、     

 

 

 

見た目だよね。

 

 

 

俺がタバコを吸ってると、

大麻を吸ってるように見えるほど

怪しげな見た目をしてるっつ~事ですよね。

 

っつ~か、

「大麻を吸いに来た」って思われちゃってんだもんね?

 

「大麻を吸うのが目的でインドに来た」

って思われちゃってんだもんね?

 

ひどいね、、、            

 

 

 

 

 

 

 

見た目。

 

 

 

はぁ、それにしても、、、         

 

 

 

 

おいしい(笑)

 

 

 

 

---------

 

 

頑張る分すげぇ疲れるけど、

モチベーションを上げたらボランティアにやりがいが出た。

 

やりがいが出て、一生懸命やると、

終わった後の爽快感が違った。

 

疲れには慣れてきて、

いつの間にかボランティアの時間も楽しい時間になった。

 

 

 

 

な~んて思ってたら、 あっという間に1週間が過ぎ、

ついに路上パフォーマンスの本番、 日曜日がやってきた。

 

 

午後6時。

パラゴンに集まったのは8人の日本人旅行者。

みんなのノリが良くて、俺は本当にラッキーだ。

 

みんなの協力のおかげで、

俺が描いた野望が形になろうとしてる。

 

みんなを巻き込んでおいて失敗したらどうしよう、、、

 

っつ~気持ちはめっちゃあるけど、

もうそんな気持ちは無視だ無視。      

 

なんとかなるべ。

 

 

 

 

 

「じゃぁ、、、行ってみますか!!」

 

ニューマーケットへ向かった。

 

そして、、、

 

 

 

KOLKATA SUNDAY NIGHT FEVER Vol.1    

 

 

 

 

つづく

 

 

 

 

 

 

134th Try  

 

じゃぁ、やりますか!!

 

 

それぞれ別々に1人旅をしている旅人が数人。

 

ニューマーケットの前の広場に腰を下ろすと、

何人かのインド人さん達が気付いて、珍しいもの見たさに寄ってきた。  

 

ドックン、、、ドックン、、、ドックン、、、  

 

「心臓が張裂けそうだ」

っつ~言葉を使う時が人生で何回来るのか知んねぇけど、

今使っとかなかったらもう一生使わねぇ気がする。  

 

 

 

 

デン デン デン デン ・・・

 

水を一口飲み、目で合図を送ると、打ち合わせ通り、

セイジさんがシンプルなリズムでジャンベを叩きだした。

 

目を閉じ、タイミングを見計らって、、、

 

大丈夫。

 

ここがバラナシのガンガー沿いだと思えば、、、

 

せ~の!!

 

 

 

うぃ~pi~~~♪ うぃ~pi~~~♪♪

 

 

 

 

 

ジャンベの低い音でホーミーの高い音が強調されて、

気持ち良く音が出た。

 

夢中でホーミーを続けながら、

少し気持ち良くなってきて目を開けると、、、  

 

 

わぁっ!?

 

 

 

超~びっくり。

だって、信じらんねぇ数のインド人さんに囲まれてんだもん。

 

もう前から後ろからギッシリ!!

 

超嬉しくなって、

思わず飛び出しそうになるどや顔を必死に抑えながら、

予定通り もう一度セイジさんに目で合図を送る。

 

すると、セイジさんもホーミーを始める。

実は、ちょっとやってみたらセイジさんも出来ちゃって、、、(汗)

 

うぃ~pi~~~♪

うぃ~pi~~~♪♪

 

うぅ~い~pi~♪

うぅ~い~pi~~♪♪

 

 

 

 

 

「ヒュ~~!!」

 

 

 

 

付け焼刃この上ないダブルホーミーが、

ちょっと自分らでも驚くほど良い感じにハモっちゃって、

その瞬間、 周りから、結構な拍手と歓声が沸き起こった。

 

 

うぉ~、なんか、やっべぇ、、、

 

超~気持ち良い!!

 

 

 

 

それからは、もうよくわかんねぇ。

 

超ありきたりな表現だけど、、、

 

いつの間にか現実とは思えない、

なんだかスローでキラキラした、

まるで夢の中にいるような感覚に包まれて、

超ハッピーだった。

(変な薬を飲んだわけじゃないよ。笑)

 

 

 

ディジュリドゥやパチカ、鈴、

ジャンベも もう一つ加わってみんなでセッション。

 

エチオピアのジャンベマスターも来てくれて、

国際色も豊かに。

 

3人のギタリストによる演奏や歌。

 

リズミカルなジャンベを中心にした

みんなのセッションに合わせての、

ド派手なファイヤーポイのパフォーマンス。

 

もう盛り上がりは最高潮!!

 

デビルスティックっつ~

棒の大道芸を持った人が飛び入りで参加してくれたり、

 

歌やセッションに合わせて

踊りだすインド人さんも1人や2人じゃない。

 

気付くと、

路上パフォーマンスをしに来た自分らも、

見てくれてるインド人さんも、

みんながごっちゃまぜになって盛り上がってた。

 

「特技とか別に無くても 関係無く一緒に盛り上がれるような、、、」

 

なんだか、 ちょっと達成できてるような気がして、

すげぇ嬉しい。

 

途中、あまりの楽しさと、

嬉しさに調子に乗っちゃってさ、

 

「はいっ、踊ります!!」 って感じで、

 

3日前に映画館で見てきた

インド映画の中で踊ってたコミカルなダンスを披露した時は、

この最高の盛り上がりの中、 信じられないくらいスベってさ、、、

 

 

完全に夢から覚めたけどね(汗)

 

 

 

 

最高の盛り上がりの中、

沖縄から来た 元自称下手なギターを練習中の男の子のギター演奏 に合わせて、

日本人みんなで「島人ぬ宝」を合唱。

 

そして、、、

「ダンニャバード!!」

 

たくさんの歓声や拍手を貰って、 大満足してると、

次から次にインド人さんがやってきて、 握手を求めてきてくれた。

 

中には、「次はいつやるんだ?」って、

嬉し過ぎる事を言ってきてくれる人も。

 

もうマジ最高!!

 

 

 

 

すっげぇ良い気分でパラゴンに戻ると、

みんなでハシャぎまくった。

 

「やったぁ~!!」

 

「超気持ち良かった~!!」

 

「めっちゃ握手しちゃったよ~。」

 

「最高やったぁ~!!」

 

「びっくりするくらい盛り上がったなぁ!!」

 

 

 

よかったぁ、、、 マジ、、、やってよかったぁ。

 

 

 

 

 

いつ以来だろう、、、

 

心からのガッツポーズをした。

 

 

 

 

 

「みなさん、今日はマジでありがとうございました!!

 っつ~ことで、また来週もよろしくお願いしま~す!!」

 

 

最高に盛り上がってる雰囲気の中、

寄付の為とはいえ、 なんとなくお金を要求するのは気が引けて、

収入は無かったけど、、、

 

 

大成功だよね?

うん、大成功ですよ!!

 

 

KOLKATA SUNDAY NIGHT FEVER Vol.1 Finish !!

 

 

 

 

 

 

 

 

翌朝、

いつもの通りボランティアに向かう為、

教会に行くと、伝言が廻ってきた。

 

「 3日後に、国ごとに出し物をする、

 ボランティアズデイっていうイベントがあって、

 日本人のみんなに参加して貰いたいんだけど、

 参加してくれる人は、話し合いをしたいので、

 何をやりたいか考えといて。

 

 テーマは『Love』。

 ちなみに、前回は歌を歌ったみたい。

 とりあえず、 ボランティアの後、パラゴンに集合して~。 」

 

 

 

午後、

伝言の通り、

パラゴンに日本人のボランティアが集まった。

 

参加できる人達が揃ったのを見計らって、

まとめ役っぽいおばちゃんが切りだす。

 

「朝伝えた通りなんだけど、 なんかやりたいなぁ~っていう人いる?」

 

「 あ、はい。あの、、、私、 少しなんですけど、

 手話ができるので 『上を向いて歩こう』に

 手話をつけてやるのってどうでしょうか?」

 

「へぇ~、手話か。いいんじゃない。

 他のみんなはどう? それでいいかな?」

 

 

うずうず、、、

 

うずうず、、、

 

 

 

 

「すいません、あのぉ~、、、」

 

 

 

 

つづく

 

 

 

 

 

135th Try

 

Thank you. Thank you. Thank you~♪

Thank you. Thank you. Thank you~♪

Thank you. Thank you. Thank you from my heart♪♪(×2)

 

Love you. Love you. Love you~♪

Love you. Love you. Love you~♪

Love you. Love you. Love you from my heart♪♪ (×2)

 

Miss you. Miss you. Miss you~♪ 

Miss you. Miss you. Miss you~♪

Miss you. Miss you. Miss you from my heart♪♪ (×2)

 

 

 

頭がおかしくなった訳じゃないよ(笑)

 

ここ、コルカタのマザーハウスには、

いくつもの施設があって、 入所者は障害の種類や症状、

年齢や性別などによって各施設に入所している。

 

いくつもの施設は、隣接、

もしくはすぐ近くにある訳じゃないから、

ボランティアは、 それぞれ別々の場所に通っていく。

 

ただ、朝はほとんどのボランティアが、

同じ教会に集まり、朝食を食べ、 みんなでお祈りをしてから、

それぞれの施設へ向かっていくんよ。

 

でね、 お祈りの後、 「今日で最後の人~」っつって、

今日でボランティア最終日の人が、 みんなの輪の真ん中に呼ばれるんよ。

 

で、その人達に向けて、

みんなでこの歌を歌って送る感じ。

 

おつかれ~!!って感じで。

なんかいいっしょ?

 

 

今日もその歌を歌って、

教会の前からバスに乗った。

 

いつもは、日本とは違うバスの中の雰囲気や、

外の景色を楽しみながら行くんだけど、今日は少し違った。       

 

 

 

コント、、、       

 

シナリオは、、、       

 

『Love.』ねぇ、、、       

 

愛?       

 

愛っつったら、、、   

 

愛と正義のセーラー服美少女戦士セーラーム・・・              

 

いやいや。       

 

浮かんでくる自分がキモい。       

 

あ、でも、、、    

 

「ヒーローもの」って、わかりやすいかも、、、

 

 

 

昼過ぎ、

ボランティアを終えて帰ってくると、

朝、教会でまわってきた伝言の通りに、

パラゴンゲストハウスに向かった。

 

「みなさん、こんにちは。

 終わったばっかりで疲れてるところ、ごめんね。

 

 朝も伝言でまわして貰ったけど、

 月に1回『ボランティアズデイ』っていうのがあって、

 ボランティアが集まって、出し物をしたり、

 ミサがあったり、ディスカッションしたり、

 あとはマザーのビデオを見たり、

 まぁ、ここの事をもっと知ってもらったり、

 各国のボランティア同士交流ができれば、 みたいなイベントなの。

 

 それが3日後。

 先月は特に何も言われなくて、

 日本人は特に何もやらなかったんだけど、

 今月は『何かやって』って、

 

 私も急にシスターに言われて、

 どうしようって感じで。

 

 必ずしもそうじゃなくてもいいんだけど、

 一応テーマがあって、『Love.』。

 

 前は、みんなで歌を歌ったりしたんだけど、、、

 どう?何かアイディアある?」

 

 

1人の女の子が、

手話付きで『上を向いて歩こう』を歌うっつ~意見を出して、

ほぼそれが決まりかけてる頃、、、

 

 

うずうず、、、

 

うずうず、、、

 

「すいません、あのぉ~、、、」

 

 

 

勇気を出して手を挙げた。

 

「えっと、あの、、、  

 手話付きの『上を向いて歩こう』もすごく良いと思うので、  

 まぁ、あの、、、それを取り入れた感じで、、、   

 コントとかどうでしょうか?」  

 

 

 

周りが失笑すると同時に、

いろんな言葉が返ってきた。  

 

「いや、無理っしょ笑」   

 

「あんまり手の込んだのは無理だと、、、」   

 

「3日しかないんだよ笑」   

 

「今からシナリオ考える時間とか無いっしょ。」

 

 

 

 

「あの、、、一応シナリオも考えてきたんすけど、、、」  

 

「マジで!?笑」   

 

「大丈夫?笑」   

 

「聞かして~笑」   

 

「ハードル高いよ!笑」

 

 

 

「えぇ~、まじっすか!?  

 いや、大丈夫っす。  

 

 えっとですね、あの、まず、、、

 

 何人かの人が『あははは~』とか言って遊んでると、

 突然、悪者が現れるんす。

 

 まぁ、僕ホーミーっつ~やつがちょこっと出来るんで、

 怪人ホーミー軍団みたいな。

 

 で、 『We are BAD MEN !!』 とか言って登場するんす。

 

 で、ジャンベとかを使って、

 鳴り物を鳴らしながら、遊んでる人達に悪さをするんす。

 ショッカーとかのノリで。

 

 そしたら、 そこにヒーローが現れて、

 『We are HERO !!』 っつ~感じっす。

 

 で、 悪者がホーミーと鳴り物を鳴らしまくると、

 『何だこの音は!?』って感じで、 ヒーロー達が頭を抱えて苦しむんす。

 

 ヒーローピンチ!?みたいな。

 

 そこに何故か、、、

 何故かなんすけど、 美女が通りかかります(笑)

 

 で、怪人ホーミーが 『Oh, beautiful woman !!』

 とか言ってそっちを見るんすけど、 美女がハンカチを落とすんす。

 

 それを美女にメロメロな怪人ホーミーが 拾って渡してあげると、

 美女が、怪人ホーミーに向かって 『Thank you !!』って言うんす。

 

 そしたら、悪者たちが急に苦しみ出すんす。

 頭を抱えて。

 

 それで、、、  『ん?』って思ったヒーロー達が、

 『Thank you.』 とか 『Love you.』 とか言うんす。

 

 『Love.』の入れ方が強引ですけど、

 その度に悪者が苦しむっつ~感じっす。

 

 で、ヒーローが気付くんす。

 『They don't like [Thank you.] & [Love you.] !!』 って。

 

 そこで、あの歌っす!!

 Thank you. Thank you. Thank you~♪

 Thank you. Thank you. Thank you~♪

 Thank you. Thank you. Thank you from my heart♪♪(×2)

 

 Love you. Love you. Love you~♪

 Love you. Love you. Love you~♪

 Love you. Love you. Love you from my heart♪♪(×2)

 

 で、平和が戻って、

 最後に『上を向いて歩こう』みたいな、、、 どうっすか?」

 

 

 

 

 

 

数分後、、、

 

 

練習開始!!笑

 

 

集まっていた日本人旅行者十数人、、、

 

奇跡的なノリの良さ!!

 

 

 

更に、 エンターティナーもたくさんで、

「こうした方がよくない?」っつ~感じで、

おもしろい意見が出るわ出るわ。

 

もう、楽しくて楽しくて、爆笑しながら練習。

 

俺、経験無ぇけど、

きっと楽しい文化祭の準備ってこんな感じだろうなぁって感じ。

 

気付けば、その完成度と言ったら、、、笑

 

 

 

 

3日後、、、 『ボランティアズデー』当日。

 

いくつかの各国の代表グループが、

『Love.』をテーマに歌や劇を披露する中、

我らが日本のグループの順番がきた。

 

そして、、、

 

 

 

大ウケ。

 

完全に、優勝!!

 

 

 

勝負じゃねぇけど(笑)

 

 

 

 

超ドキドキしたけど、

あの時、勇気をだして自分の意見を言って良かった。

 

おかげで、みんなに協力してもらって、

超良い感じに充実した3日間を過ごせた。

 

大袈裟だけど、

なんか人生の楽しみ方が 上手くなってきたような気がする。

 

 

ただ 『目立ちたがり屋になってきただけ』

っていう説も有力だけど、、、(笑)

 

 

 

つづく

 

 

 

 

 

 

 

136th Try

 

木曜日。

いつもと同じ時間に起き、

いつものように宿を出ていくわけだけども、、、

 

今日は、教会とは逆に歩いていく。

 

大通りに出る手前にあるチャイの屋台に寄り、

 

「早くから開けてくれてるおかげで、

   朝一の煙草が美味しく吸えます。ありがとう。」

 

という気持ちで美味しいチャイを飲みながら煙草を吸う。

 

いつも朝のチャイを飲む教会の中は禁煙だから、

このひと時が、何気に週に1度の楽しみだったりする。

 

いつもより少し贅沢な朝の一服の後、

いや実際は三服はするわけだけども、、、

 

地下鉄の駅に向かう。

 

駅に着くと、切符代わりのコインを買い、

自動改札を通り、地下鉄に乗って、

『ダヤダン(障害のある子供達の施設)』に向かう。

 

この出勤な感じは日本以来。

 

だから、このひと時も、

何気に週に1度の楽しみだったりする。

 

いつもの帰り道を逆に歩き、

いつものように施設に入っていくわけだけども、、、

 

階段を上がると、

先に来て働いているマーシー(職員さん)と、

こつりさんに挨拶をして、早速仕事を始める。

 

人が少ないから、やる事がいっぱい。

 

だから、いつも以上に働き甲斐がある

この日が、何気に週に1度の楽しみだったりする。

 

木曜日。

実は、ボランティアがお休みの日。

 

「なのに、休まないで行ってる俺って偉~い!!」

っていうことではなくて、、、

 

『ダヤダン』でボラってる日本人は、

みんな地下鉄で通ってたりする日が木曜日。

 

国際色豊かな普段の週6とは違い、

木曜日のボランティアは日本人だけ。

 

まったく日本人っつ~のは、、、

 

 

誇らしい!!

 

 

そうだよね。

実際、「木曜日はお休み」っつって、

休むボランティアはいいけど、

施設で暮らしてる人達の生活に休みなんてないもんね。

 

何人かのマーシーとこつりさんがいるとは言え、

いつもたくさんいるボランティアが1人もいなかったら、、、

 

いろいろと滞っちゃうよね。

 

そう考えると、

むしろ「木曜日こそ来て」って感じ?

 

まぁ確かに、みんなが休まないから、

本当は休みたいんだけどできないっつ~雰囲気も無くはないかも。

 

特に慣れない最初の頃ってさ、

いろんな意味で超疲れっから、

いくら昼過ぎには終わるっつっても、

週7日通うのって結構キツいんよね。

 

だからさ、無理して身体壊してもしょうがないし、

そもそも観光目的で来てたりする人もたくさんいるから、

休む時は休むんよ。

 

でも、休む人も、木曜日をずらして、

人が足りてる時に休んだりしてさ、本当に気が効いてる。  

 

もう超感心。

 

まぁ、自分の場合は、

日曜日の路上パフォーマンスをやりたいぐらいで、

他には特に用事もねぇし、

言ってみりゃぁ暇人だからさ、一応毎日通ってるけどね。

 

こつりさんへの尊敬の念もあるし、

こつりさんからのプレッシャーもあるし(笑)

 

 

 

あ、こつりさんっつ~のはね、

もうず~っと『ダヤダン』で無償で働いてる日本人のおばちゃんなんだけどさ、

もう超すごいんよ。

 

ビザの有効期間内(約半年)はずっと『ダヤダン』。

 

しかも、自分らみたいな只のボランティアとは違って、

朝は誰よりも早く行って、夜子供たちが寝るまで働くの。

 

休みなんて概念も無し。

コルカタにいる間は毎日その生活。

 

自分の為の贅沢は一切しないって言って過言じゃないと思う。

ビザが切れるとネパールに行って、またビザを取って戻ってくる。

 

そんな生活をもう15年以上してるとか。

 

本物をよく知らない俺からすると、

この人がマザーだね。

 

15年以上も、自分の事を顧みないで、

人に尽くし続けるなんてねぇ、、、

 

 

最高なおばちゃんでしょ!!

 

口は超悪いけど(笑)   

(こつりさんすいません。)

 

 

 

 

ある日、、、

いつも来ると最初にやるベッドのシーツ交換は、

もう人が足りてたから、床の掃き掃除をしてたの。

 

そしたら、珍しくこつりさんに声を掛けられたんよ。

 

「ちょっとお兄さん、そんなのほっといて、こっち手伝って!!」

 

なかなかの迫力に押されて、

誰かに箒を渡す暇も無く、

マジでほったらかしにして こつりさんについていくと、

いつもは行かない奥の部屋に連れて行かれた。

 

そこでは、何人かの子供が寝転がっていて、

こつりさんをはじめ、 ボランティアの人達がマッサージをしたり、

リハビリ的な事をしていた。

 

こつりさんからやり方を教わると、

この日から、俺はこのリハビリルームのレギュラーになった。

 

「お兄さん、お名前は?」

「あ、だいすけです。宜しくお願いします!!」

 

「だいすけさんね。明日からは毎日この部屋でやってね。」

「え?あ、はい。」

 

 

 

 

翌朝、、、

いつも通りに来て、シーツ交換を始めると、

後ろから怒鳴り声がした。

 

「ちょっと、何やってんの! あっちの部屋来てって言ったでしょ!!怒」

「あ、朝一からっすか?すいません、すぐ行きます、、、汗」  

 

 

そんなに怒んなくても、、、

 

人の機嫌や表情を伺いながら、

無難に振る舞うセコい俺 に関しては、この時だけだったけど、

 

こつりさんはしょっちゅう誰かに怒ったり、

誰かと揉めたりしてた。

 

なんせ口が悪りぃからさ、

言ってる事が正しくても、聞く側がイラッとするんだよね。

 

余計なひと言付けるのとか天才的だし(笑)

 

 

 

慣れない布おむつの交換を手こずってる子にさ、、、

 

「チンタラやってんじゃないの!! もう、わたしがやるから貸して!!」

 

ここはまぁ、まぁいいとして。

問題はその後。

 

おむつをしながら子供に、、、

 

「ね~、日本でもこうやってチンタラ働いてんのかね~」  

 

 

ぷぷ。超余計(笑)

 

 

 

 

旅行者って、

良い意味で熱い奴が多いじゃん。

 

だからさ、 自分なりの考えがあってやってる事とかに、

こつりさんがツッコんでくると、もう、、、

 

バトル勃発だよね。

 

 

でも、子供達のリハビリしながら、

いろんなバトルを聞いてきたけど、 結構いろいろ考えさせられるんよ。

 

パッと聞いてるとさ、

いつも最初は熱い旅行者の意見が正しいと思うんよ。

 

俺も頭の中では

「そうだよ、絶対そっちの方が正しいよ。」って。

 

でも、こつりさんと話す事が増えて、

少しだけどこつりさんの事を知ってきたり、

ゆっくり考えてみると、やっぱり旅行者は分が悪いんよね。

 

例えば子供の世話をするのに、

俺なりのやり方があって、

 

そのやり方だと

なんだかちょっと子供の機嫌も良さそうに見えて、

 

他のボランティアさんも

「だいすけらしくていいね」って言ってくれてたとするじゃん。

 

で、こつりさんが、

「余計なことしないでいつもどおりやってなさい」

みたいに言ったとして、

 

でも、みんなで手を組んでこつりさんに言い勝ったとして、、、  

 

 

 

俺はこう言われたら愕然とすると思う。

 

 

「じゃぁ、そうやって下さい。

 で、いつまでできるんですか?」

 

 

 

ね?

 

そう。

 

偉そうな事言っても、

俺は1~2ヶ月もすりゃぁこっからいなくなるんよ。

 

それを考えると、

自分の人生を捧げてるこつりさんはやっぱりすげぇ。

 

中途半端な善意じゃねぇ。

 

良いやり方とか考え方が何かなんてわかんねぇけど、

誰がなんと言おうと、きっとここの子供たちを

誰よりも大切に思ってるのはこつりさんだし。

 

だからさ、口が悪かったり、キツくても、

まったく嫌いにはなれねぇんよね。

 

そんなこつりさん。

いったいどう勘違いしたらそうなるのか。

 

何故か俺の事、、、

 

 

 

 

 

太郎さん って呼んでくる、、、。

 

 

 

 

それ以来、『ダヤダン』での俺のあだ名は、、、

 

太郎さんになった。                       

 

 

 

 

 

 

 

つづく

 

 

 

 

 

この記事をかいた人

クロスロードのなんでもおじさん。クロスロード愛が強すぎてボランティアスタッフとして居座っている。 書道家という一面も持ち、世界の路上で2万人を超える人たちに日本語でお名前を書き、プレゼントしてきた。好きな言葉は迷ったらGO。